荒川区の中古マンション相場は4,950万円(中央値)。準工業用地が過半を占める影響は?

荒川区のマンション成約価格は、2025年の中央値で4,950万円です(件数510件、国土交通省「不動産情報ライブラリ」成約価格情報)。

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南千住は工場跡地の再開発などの影響で、新築マンションが多く、このエリアで取引が盛んなイメージがあるかもしれません。しかし、中古市場で実際に取引されているのは、主に主要道路沿いに点在する商業地の中古マンションです。そのため荒川区のマンション価格を考えるとき、区全体の平均値や中央値で考えると誤差の大きさが気になります。なるべく机上査定でいいので価格査定を依頼するようにしてください

この記事では、荒川区の相場を町名別・面積別・築年数別に分解し、ご自身の物件の価格を計算する手順まで示します。

なお、東京23区全体のマンション価格の動きについては、以下の記事で解説しています。

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立石秀彦

この記事は「東京マンション売却編集部」が作成し、以下の監修者が内容を確認しています。

立石秀彦

宅地建物取引士/JSHI公認ホームインスペクター アップライト合同会社 代表

雑誌編集者として実業之日本社に勤務後、沖縄で不動産会社(沖縄かりゆし不動産)を約10年経営。現在はアップライト合同会社の代表として、関東・関西・沖縄の不動産会社と連携し、不動産関連データ分析および宅建業を運営。

目次

荒川区の成約価格は4,950万円(中央値)

荒川区の中古マンション(2025年) 平均成約価格:5,195万円/中央値:4,950万円/平米単価:約85.9万円(坪単価267.0万円) 対象期間:2025年1〜12月|成約価格ベース|取引件数:510件|出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ「成約価格情報」|集計日:2026年7月20日

2025年の荒川区における中古マンションの成約価格は、中央値で4,950万円でした。平均は5,195万円で、平均を中央値で割ると1.049倍です。極端に高額な物件に平均が引っ張られている度合いは小さく、平均値がそのまま「荒川区の相場の目安」として使える水準です。

2025年は前年(2024年)の328件から510件へと、取引件数が大きく伸びた年でもありました。件数が増えたぶん、価格帯の異なる物件が多く含まれるようになっている点は、後述する「町名・築年数による違い」を読むうえで頭に入れておいてください。

荒川区のマンション価格「3つの特徴」

荒川区の相場を見るうえで押さえておきたい特徴を、3つの観点から説明します。

南千住の工場跡地に建つマンション群

荒川区は、明治期の官営工場(千住製絨所)や隅田川沿いの煉瓦工場、震災後に移転してきた町工場など、住宅と製造業が同じ土地で共存してきた歴史を持つ地域です。この産業史の名残で、区内の成約物件の37.1%が準工業地域に立地しています(住居専用地域はわずか0.2%で、23区の中でも下から3番目の低さです)。

戦後、南千住一帯にあった大規模工場が閉鎖されると、そこに広い更地が生まれました。この土地が、現在の再開発地になっています。実際、90㎡以上の大型住戸の成約割合を見ると、南千住・西尾久エリアでは14.3%と、他エリア(2.3%)の6倍以上です。荒川区の統計でも、200戸を超える大規模マンションは南千住に5件、西尾久に3件確認されています。

南千住は成約件数でも荒川区内最大のエリアで(全期間で339件、区内シェア約19%)、駅ごとの成約の集中度(HHI)は1,255と、23区の中で2番目に高い数値です。1つの駅に取引が集まりやすい構造は、この再開発の集積によるものと考えられます。

準工業が多い区だが成約物件は商業地域に多い

荒川区は区の土地の約75%が準工業地域に指定されているといわれます(東京都・区の資料ベース)。ところが、実際に成約しているマンションで見ると、商業地域に立地する物件が53.1%と過半数を占め、準工業地域(37.1%)を上回ります。

坪単価で比べても、2025年は商業地域が302万円、準工業地域が259万円と、商業地域のほうが高くなっています。準工業地域は用途の制限が緩く、住宅・商業・町工場を同じ地区に混在させやすい半面、容積率の面では商業地域のほうがマンションを建てやすい傾向があります。

また荒川区では商業地域が西日暮里駅周辺と主要道路沿いエリアに固まっています。

日暮里と西尾久に古いマンションが多い

「荒川区は東日暮里・西日暮里に高経年マンションが多い」という調査結果があります(荒川区「マンション実態調査報告書」2023年11月)。分譲マンションの棟数ベースで見ると、たしかにこの2エリアに全体の約4割が集中しており、築40年以上の物件もこの2エリアに比較的多く確認されています。

ただし、これは「区内に建っている棟」の統計です。実際に「売買されている」物件で見ると、少し違う傾向が見えてきます。2025年の成約データで地域別の築年数中央値を見ると、東日暮里・西日暮里はいずれも築16〜20年前後で、区内平均より新しいグループに入ります。築年が古い物件が多いのは西尾久で、築年数の中央値は35.5年です。

「棟数として多い」ことと「今、取引の中心になっている」ことは別の話ということ。西尾久で築古マンションの売却を検討している場合、エリア内に取引事例が多く、確度の高い査定を出せるはずです。

荒川区のマンション価格推移(2021〜2025年)

荒川区の坪単価は、2021年から2025年にかけて上下しながら、全体として右上がりに推移してきました。2LDK・3LDK/55〜80㎡/築15〜30年という条件にそろえて比較すると、次のような推移となります。

坪単価(中央値)前年比
2021年202.8万円
2022年218.7万円+7.9%
2023年214.9万円-1.7%
2024年249.2万円+16.0%
2025年267.0万円+7.1%

条件をそろえた坪単価は、2021年から2025年の累計で+31.7%です。

注目したいのは2023年です。荒川区は2023年に一度、坪単価が-1.7%と下がっています。23区の中で、この時期にマイナスを挟んでから翌年に大きく反発した(+16.0%)区は荒川区だけです。他の多くの区は、上昇か横ばいが続く形で推移しています。

条件を固定していない全体平均で見ると、2025年の前年比は+3.6%にとどまります。条件固定の+7.1%より小さく見えるのは、2025年に取引件数(510件)が増え、平均築年数がやや上がった(22.5年)など、取引される物件の構成が変わったことが影響しています。荒川区の実際の値動きを見るときは、この条件固定の数字を目安にしてください。

取引件数の伸びは大きく、2021年の316件から2025年には510件へと、5年間で+61.4%増えています。過去5年で見ると、荒川区のマンション価格はかなり上昇し、同時に取引の母数も増えているという状況です。

町名・築年数で価格はどれだけ変わるか

荒川区で坪単価に最も影響するのは、町名でも駅でもなく、築年数です。直近3年・50㎡以上・ファミリー向け間取りの物件で最大÷最小の倍率を比べると、次のようになります。

最大÷最小
築年数2.07倍
町名1.81倍
1.80倍
徒歩分数1.51倍

町名や駅による差(1.8倍程度)は、23区のどの区でもほぼ同じ幅で見られる差です。荒川区で特徴的なのは、この差より築年数による差のほうが大きいという点です。

築年帯別に坪単価(2025年・中央値)を見ると、次のとおりです。

築年帯坪単価(中央値)件数
築10年以内378.2万円122件
築11〜20年299.9万円150件
築21〜30年244.1万円90件
築31〜40年191.0万円65件
築41〜50年171.9万円75件
築51年以上150.3万円(参考値、7件)7件

(参考)町名別に見ると、坪単価が最も高いのは西日暮里(350.9万円)、最も低いのは町屋(193.9万円)でした。ただし前述のとおり、この差だけを荒川区の特徴として捉えるより、築年数の差と合わせて見たほうが実態に近づきます。

荒川区マンションの面積・間取り別の相場

2025年の成約物件を面積帯別に見ると、次の表のようになります。

面積帯中央値件数
40㎡未満2,750万円88件
40〜50㎡3,300万円58件
50〜60㎡5,000万円129件
60〜70㎡5,950万円116件
70〜80㎡6,350万円76件
80㎡以上7,300万円43件

間取り別では、3LDK(中央値6,400万円・156件)と2LDK(同5,850万円・110件)がファミリー層の中心的な取引です。単身・カップル向けの1LDK(同4,050万円・62件)、1K(同2,000万円・27件)も一定の取引があります。

面積が広いほど坪単価は上がりやすい傾向にありますが、荒川区ではその効き方はごくわずかです(後述の回帰分析で確認します)。「広い部屋ほど割安」という他区で見られる傾向は、荒川区では強くは出ていません。

築年数別の坪単価

前の章で見た築年帯別のデータを、回帰分析(徒歩分数・築年数・面積が価格に与える影響を統計的に分析する手法)で確認すると、荒川区では築年数1年あたり坪単価がおよそ1.85%程度下がる計算になります。駅からの徒歩1分の差は、坪単価にしておよそ2.38%程度の差に相当し、荒川区では「徒歩1分の近さ」が「築1.3年分の新しさ」に近い価値として市場に織り込まれています(n=1,137、決定係数R²=0.618)。

駅からの徒歩分数別に見た坪単価は、次のとおりです(2025年)。

徒歩分数坪単価(中央値)件数
5分以内288.1万円199件
6〜10分297.5万円215件
11〜15分208.3万円70件
16分以上248.7万円23件

築古物件を検討する場合、「築年数の古さ」と「駅距離の近さ」はある程度相殺し合う関係にあります。築古で駅から遠い物件は、両方の要因が重なるぶん価格への影響が大きくなる点に注意してください。

ここまでの相場は、あくまで荒川区全体の目安です。
町名・面積・築年数を入力すると、あなたの条件に近い価格帯をすぐに確認できます。
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価格を左右する7つの条件

マンションの成約価格は、主に次の7つの条件で決まります。

  1. 立地(町名・駅):荒川区では最大1.8倍程度の差
  2. 駅からの距離:徒歩1分ごとにおよそ2.4%程度、坪単価が変わる
  3. 築年数:荒川区では1年ごとにおよそ1.9%程度、坪単価が下がる計算
  4. 面積:荒川区では面積による坪単価への影響はわずか
  5. 間取り:ファミリー向け(2LDK・3LDK)と単身向け(1K・1DK)で価格帯が大きく異なる
  6. 建物の構造:荒川区はSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)の割合が31.0%と、23区の中でも高い部類に入ります
  7. 用途地域:商業地域は容積率が高く、比較的大規模なマンションを建てやすい地域です。荒川区では成約物件の53.1%が商業地域に立地しています

このうち荒川区で特に効いているのは、2の駅距離と3の築年数です。加えて、2021年11月には「敷地面積最低限度の規制」が区内全域に適用されました(東京都告示第1407号)。これは、極端に細かく分割された敷地での開発を制限する制度です。施行から日が浅く、この記事のデータで効果を裏づけることはまだできませんが、今後、まとまった敷地でのマンション開発が進みやすくなる制度的な後押しになる可能性があります。

(参考)査定額が不動産会社によって違う理由については、以下の記事をご覧ください。

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荒川区のマンション価格は今後どう推移するか

ここまでの数字は2025年通年の確定値ですが、この章だけは2026年に入ってからの速報値ベースで検討します。

東日本レインズが2026年6月に発表した最新の月例速報(2026年5月度)によると、首都圏の中古マンション成約㎡単価は前年同月比-3.9%となり、2020年4月以来73ヵ月ぶりに前年を下回りました。成約件数も前年同月比-3.4%と2ヵ月連続で減少しています。ただし東京23区に限ってみると上昇率は+2.0%程度まで鈍化したとの解説があり、下落というより「伸びが止まりかけている」段階に近い状況です。

一方、東京カンテイの直近データ(2026年5月発表・売出ベース)では、東京23区の価格は前月比+2.4%と24ヵ月連続で上昇を続けています。ただし前述のとおり、価格改定シェア(値下げされた物件の割合)は49.1%まで上昇しており、売り出された価格がそのままでは通りにくくなっている兆候も見られます。

荒川区固有の材料としては、三河島駅前北地区の再開発(西日暮里一丁目、総戸数749戸のうち一般住宅669戸が分譲予定)が2025年11月から解体工事に入り、2029年12月〜2031年ごろの竣工が予定されています。これはあくまで「予定」であり、現時点で荒川区の成約価格に反映されているものではありませんが、南千住で完了した複数の再開発(ブランズタワー南千住、リバーハープ各街区など)と同様に、今後の三河島エリアの相場に影響してくる可能性がある材料です。

首都圏全体で成約ベースの指標に鈍化の兆しが出ている一方、荒川区は再開発という区固有の押し上げ材料も抱えています。右肩上がりの継続を前提にするのはリスクがあり、これまでの上昇ペースがそのまま続くとは限らないのですが、荒川区の場合はプラス要因もあり、難しい判断となるでしょう。

こういう局面では「価格が上がるか下がるか」だけではなく、ライフプランに沿った判断をするのがおすすめです。進学、就職、転勤などの予定に合わせて売却プランをたてるほうが合理的といえます。

マンションを売る・持つ・貸すの判断基準

マンションを手放すかどうかは、価格の動きだけで決めるものではありません。ライフプランや、保有し続けた場合の管理費・修繕積立金の負担、賃貸に出した場合の利回りなど、複数の要素を合わせて考える必要があります。

荒川区の分譲マンションについては、管理組合の設置率自体は96.8%と高い一方、役員のなり手不足(24.7%)や修繕積立金の不足(27.9%)を課題として挙げる管理組合も一定数あります(荒川区「マンション実態調査報告書」2023年11月)。築年数が古い物件を保有し続ける場合は、こうした管理状況も価格と合わせて確認しておくと安心です。

(参考)マンションは売却・保有・賃貸のどれを選ぶべきか、詳しくは以下の記事をご覧ください。

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自分のマンションの価格を調べる手順

ここまでの解説を踏まえて、ご自身のマンションの価格を調べる手順は、次のとおりです。

  1. 最寄駅を合わせる(荒川区内でも駅によって坪単価が異なります)
  2. 面積を±10㎡程度に絞る
  3. 築年数を±5年程度に絞る
  4. 駅からの徒歩分数をそろえる
  5. 成約時期を直近3年程度に絞る
  6. 絞り込んだ物件群の中央値を確認する

町名・面積・築年数の3項目を入力するだけで、この作業を代わりに行えるシミュレーターをご用意しています。上のCTAからご利用ください。

査定額が不動産会社によって違う理由

不動産会社に査定を依頼すると、会社によって査定額に差が出ることがあります。これは、各社が参照する事例の範囲や、売却を急いでいるかどうかの判断、囲い込みの有無など、さまざまな事情が影響するためです。

高い査定額を提示されたときほど、その根拠(どの事例を参照したか、成約時期・面積・築年数・駅距離は自分の物件と近いか)を確認することをおすすめします。本稿の監修者も宅地建物取引士として査定に関わる中で、相場より大きく高い査定額は、媒介契約を取るための「とりあえずの数字」であるケースを何度も見てきました。この記事で示した町名別・築年数別の坪単価と照らし合わせるだけでも、査定額が妥当な範囲かどうかの目安になります。

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売却後に手元に残る金額

マンションを売却しても、成約価格がそのまま手元に残るわけではありません。仲介手数料、抵当権抹消費用、(対象の場合は)譲渡所得税などを差し引いた金額が、実際の手取り額になります。

以下のシミュレーターで、荒川区の価格帯(中央値4,950万円前後)を目安に、ご自身の物件でどの程度が手元に残るかを試算できます。

マンション売却 手取り額シミュレーター

まとめ|荒川区では平均ではなく類似事例で判断する

荒川区のマンション成約価格は、2025年中央値で4,950万円でした。ただし、この数字をそのまま自分の物件に当てはめることはできません。

  • 荒川区で価格に最も効くのは、町名でも駅でもなく築年数です。築10年以内と築41年以上では坪単価が2倍以上変わります
  • 荒川区は土地としては準工業地域が中心ですが、実際にマンションが売買されている中心は商業地域です。「区の顔」と「市場の顔」は別のものとして見る必要があります
  • 「高経年マンションが多い」というイメージは東日暮里・西日暮里に向きがちですが、実際に取引されている物件で最も古いのは西尾久です

ご自身の物件に近い条件(町名・面積・築年数・駅距離)に絞り込んで初めて、意味のある相場が見えてきます。この記事のシミュレーターや机上査定フォームを使って、まずはご自身の条件での目安を確認してみてください。

匿名の23区マンション10秒査定シミュレーション

上記は完全匿名で使える査定シミュレーションプログラム。国土交通省不動産情報ライブラリのデータを使用し、その場で価格を表示します。

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この記事を書いた人

クラシエステート株式会社とアップライト合同会社が運営する「東京マンション売却」の編集部です。データに基づいた分析を、わかりやすい記事にまとめています。

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