【比較表つき】マンションを売るか貸すか|後悔しないための判断基準7つ

マンションを売るか貸すかで迷ったときは、まず「将来その家に戻る時期が決まっているか」と「売却代金で住宅ローンを完済できるか」を確認しましょう。

戻る予定がなく、売却後にまとまった資金が残るなら、売却を軸に計画を立ててよいでしょう。

それに対して、数年後に戻る可能性があり、管理費や税金、空室期間を差し引いても収支が成り立つなら、貸す選択肢も有力候補になります。

ただし、家賃18万円で貸せるからといって、年間216万円がそのまま残るわけではありません。賃貸経営の収支計算は意外と複雑なので、記事内に設置した簡単シミュレーション機能を利用して、しっかり計算してみてください。

管理費、修繕積立金、固定資産税、管理委託料、ローン返済などを差し引くと、年間収支が赤字になる場合もあります。この点をしっかり計算する必要がでてきます。

また、住宅ローン返済中のマンションを貸すには、金融機関への事前確認が必要です。

さらに、賃貸した期間が長くなると、マイホーム売却時の3,000万円特別控除の期限や、入居者との契約が将来の売却を制限する可能性もあります。

この記事では、マンションを売るか貸すかを判断する7つの基準を整理したうえで、売却後の手取り額と賃貸後の実質収支を具体的に比較します。

感覚ではなく数字を使い、自分自身のライフプランに合う選択を見つけていきましょう。

立石秀彦

この記事は「東京マンション売却編集部」が作成し、以下の監修者が内容を確認しています。

立石秀彦

宅地建物取引士/JSHI公認ホームインスペクター アップライト合同会社 代表

雑誌編集者として実業之日本社に勤務後、沖縄で不動産会社(沖縄かりゆし不動産)を約10年経営。現在はアップライト合同会社の代表として、関東・関西・沖縄の不動産会社と連携し、不動産関連データ分析および宅建業を運営。

目次

あなたのマンションは売るべきか貸すべきか? 7つの判断基準

マンションを売るべきか貸すべきか、その決断は今後のライフプランや家計に少なからぬ影響を与えます。

どちらか一方のメリット・デメリットだけを見るのではなく、売却検討物件の状況に合わせた多角的な視点が必要です。

特に、将来その家に戻る可能性と、住宅ローンの残債額の2点は、判断の最重要ポイントとなるため、最初に検討しましょう。

ここでは、後悔しない選択をするための7つの判断基準を解説します。

マンションを売るか貸すかの判断基準比較表

判断基準売却が向いている状況賃貸が向いている状況
将来その家に戻る可能性戻る予定がない、または時期が決まっていない数年後に戻る予定が明確に決まっている
住宅ローンの残債額売却代金でローンを完済できる売却するとローンが残り、家賃収入で返済を続けたい
売却価格と想定家賃売却後にまとまった資金が残る経費を引いても安定した年間収支が見込める
築年数と立地資産価値や賃貸需要の低下が予想される駅近や再開発地域など、賃貸需要が見込める
空室・家賃下落への耐性空室中のローンや管理費の負担が難しい数か月の空室や修繕費にも家計が耐えられる
管理の手間と時間入居者対応や修繕管理を負担に感じる管理会社への委託費を含めても保有を続けたい
税金の特例3,000万円特別控除などを期限内に利用したい税制上の特例を失う可能性を含めても賃貸収入を優先したい

将来その家に戻る可能性は?

将来、そのマンションに再び住む可能性があるかどうかは、最初の判断基準となります。

数年以内に戻ることが確定している転勤などの場合、当然ですが売却せずに賃貸に出すのが理にかなっています。

一方で、戻る可能性が全くない、あるいはいつになるか分からないという状況であれば、売却して資産を整理する方が管理の手間や税金の負担を減らせます。

「いつまでに戻る」という明確な期限があるかが、売却か賃貸かを判断する上で重要なポイントです。

戻る時期が未定のまま賃貸に出すと、いざ売りたいと思ったときに影響が出てしまうケースもあります。

ライフプランと照らし合わせて、そのマンションを将来的にどうしたいのかを考えることが第一歩です。

住宅ローンの残債額は売却予想額をうわまわるか?

住宅ローンの残債額と、マンションの売却査定価格を比較することが重要です。

売却査定価格が住宅ローンの残債額を上回る「アンダーローン」の状態であれば、売却によってローンを完済した上で、手元に資金を残せる可能性があります。

逆に、残債額が売却査定価格を上回る「オーバーローン」の場合、売却時に不足分を自己資金で補う必要が出てきます。

自己資金の準備が難しい場合は、家賃収入でローン返済を続けながら、残債が減るのを待つという賃貸の選択肢が現実的になります。

ご自身のマンションがアンダーローンかオーバーローンかを把握することが、次のステップに進むための鍵となります。

また、すでに触れた通り住宅ローン返済中の物件を賃貸に出す際は、金融機関への事前の相談が必須です。

無断で賃貸に転用すると契約違反になることがあるため、注意しましょう。

売却価格と想定家賃

売却して得られる手取り額と、賃貸に出した場合の年間の実質的な収支を比較検討します。

売却価格そのものではなく、仲介手数料や税金などの諸費用を差し引いた「手取り額」で判断することが大切です。

同様に、賃貸の場合も想定家賃から管理費、修繕積立金、固定資産税、管理会社への委託料などの経費を差し引いた「実質的な手取り額」を計算する必要があります。

例えば、売却手取り額が500万円、賃貸の年間手取り額が60万円だった場合、約8年強で売却手取り額を上回る計算になります。

短期的な家賃収入だけでなく、長期的な視点でどちらが有利かをシミュレーションすることが後悔しない選択につながります。

売却と賃貸、両方の査定を不動産会社に依頼し、具体的な数字をもとに比較表を作成してみることをおすすめします。

築年数と物件の立地

マンションの資産価値を左右する築年数と立地は、将来性を予測する上で欠かせない要素です。

一般的に、築年数が浅く、駅から近い、あるいは再開発エリアにあるなど好立地の物件は、資産価値が下がりにくく、賃貸需要も安定しています。

このような物件であれば、賃貸に出して家賃収入を得ながら、将来の値上がりを期待して保有し続ける選択も有効です。

一方で、築年数が30年を超えている、駅から遠い、周辺の人口が減少傾向にあるといった物件は、今後、家賃や売却価格が下落するリスクがあります。

資産価値が今後も維持される見込みがあるかを見極め、下落リスクが高いと判断される場合は、早めに売却する方が良い結果になることもあります。

周辺の売買事例や賃貸物件の募集状況を調べることで、ご自身のマンションの市場での立ち位置を客観的に把握できます。

空室や家賃下落のリスク許容度

賃貸経営には、必ずしも家賃収入が保証されるわけではないというリスクが伴います。

賃貸に出した場合、常に入居者がいるとは限りません。

空室期間中は家賃収入がゼロになる一方で、住宅ローンの返済や管理費・修繕積立金の支払いは続きます。

また、周辺に新しいマンションが建設されたり、景気が後退したりすると、家賃を下げざるを得ない状況も考えられます。

収入が不安定になる期間の持ち出しに家計が耐えられるかを冷静に判断する必要があります。

特に賃貸経営が初めての方は、空室が数ヶ月続いた場合の資金計画を立てておくと安心です。

賃貸経営にかかる手間と時間

マンションを貸し出すことは、不動産オーナーになることを意味し、相応の手間と時間がかかります。

入居者の募集、賃貸借契約の締結、家賃の集金、滞納時の督促、入居者からのクレーム対応、設備の故障修理、退去時の立ち会いと原状回復工事の手配など、業務は多岐にわたります。

これらの業務を不動産管理会社に委託することもできますが、その場合は家賃収入の5%前後が管理委託料として必要です。

ご自身で管理する時間と労力を確保できるか、あるいは管理委託料を支払ってでも賃貸経営を行いたいかを検討しましょう。

本業で忙しい方や、物件から遠い場所に住んでいる場合は、信頼できる管理会社を見つけることが賃貸経営成功の鍵となります。

税金の特例適用の可否

自宅を売却する際に利用できる税金の特例が、賃貸に出すことで使えなくなる可能性があります。

マイホームを売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」という制度があります。

この特例を利用できれば、売却にかかる税金を大幅に軽減できます。

しかし、この特例には「住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること」という期限が設けられています。

この税制上のメリットを享受できる期間内に売却するかどうかは、最終的な手取り額に数百万円の差を生むこともある、非常に重要な判断基準です。

転勤などのやむを得ない事情で一時的に賃貸に出す場合でも、この期限を意識して将来の売却計画を立てることが不可欠です。

売却した場合の手取り額シミュレーション

マンションの売却を検討する際、査定価格に目が行きがちですが、その金額がすべて手元に残るわけではありません。

仲介手数料や税金などの諸費用、住宅ローンの残高を差し引いた最終的な手取り額を把握することが重要です。

このシミュレーションを通じて、ご自身のマンションを売却した場合に、実際にいくら現金が残るのかを確認していきましょう。

売却査定価格の確認

売却査定価格とは、不動産会社が「この価格であれば3か月程度で売却できる」と見込む市場での予想売却価格を指します。

これは確定した売却額ではなく、あくまで目安の金額です。

査定価格は、依頼する不動産会社によって数百万円単位で差が出ることが珍しくありません。

そのため、必ず3社以上の不動産会社に査定を依頼し、提示された価格の根拠を比較検討することが大切になります。

まずは複数の査定価格を集めて、ご自身のマンションの現在価値を客観的に把握することから始めましょう。

仲介手数料や印紙税などの諸費用

マンションの売却には、さまざまな費用がかかります。

代表的なものは、不動産会社に支払う仲介手数料、売買契約書に貼付する印紙税、住宅ローンを完済するための抵当権抹消登記費用などです。

例えば、4,000万円でマンションが売れた場合、仲介手数料の上限額は「4,000万円 × 3% + 6万円」に消費税を加算し、約138万円となります。

これらに加えて、ハウスクリーニング代や測量費などが必要になるケースもあります。

これらの諸費用は、一般的に売却価格の4%~6%程度が目安です。

売却価格から差し引かれることを念頭に置いておく必要があります。

譲渡所得税の計算方法

譲渡所得とは、マンションを売却して得た利益のことで、売却価格から物件の購入費用(取得費)と売却にかかった諸費用を差し引いて計算します。

この譲渡所得に対して、所得税と住民税が課税されます。

マンションの所有期間が売却した年の1月1日時点で5年を超えている場合、「長期譲渡所得」となり、税率は合計20.315%です。

しかし、ご自身が住んでいたマンションを売却する場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる「居住用財産の3,000万円特別控除」という特例を使える可能性があります。

この特例を適用できれば、譲渡所得が3,000万円以下の場合、税金はかかりません。

売却によって利益が出る場合は、この譲渡所得税が手取り額に大きく影響します。

ご自身のケースで特例が適用できるか、事前に条件を確認することが不可欠です。

住宅ローン残高を差し引いた最終的な手取り額

最終的な手取り額は、売却価格から、これまで計算した諸費用、譲渡所得税、そして現在の住宅ローン残高をすべて差し引いて算出します。

これが、売却後に実際にあなたの手元に残る現金です。

仮に4,000万円で売却でき、諸費用が150万円、譲渡所得税が0円、ローン残高が1,500万円だった場合を考えてみましょう。

手取り額は「4,000万円 – 150万円 – 0円 – 1,500万円」で2,350万円になります。

この計算で算出された金額が、住み替えの頭金や将来のための資金となります。

この手取り額と、賃貸に出した場合の収支を比較することが、後悔しない選択をするための第一歩です。

賃貸した場合の実質収支シミュレーション

マンションを賃貸に出す場合、家賃収入がそのまま手元に残るわけではありません。

管理費や税金といった様々な費用を差し引いて、実際にいくら手元に残るのか(キャッシュフロー)を把握することが最も重要です。

単純な家賃収入だけを見るのではなく、年間を通した支出をすべて洗い出し、現実的な収支計画を立てましょう。

ここでは、家賃18万円、管理費・修繕積立金3万円、ローン返済月10万円といった条件で、具体的なシミュレーションを示します。

上記のシミュレーションでは、経費や税金を支払うと年間の収支がマイナスになりました。

このように、表面的な家賃収入だけでなく、すべての支出を考慮した実質的な収支を計算することが、後悔しないための第一歩です。

簡単シミュレーション

マンション賃貸の実質収支シミュレーター

入力した条件から、年間の不動産所得と実際の手残りを概算します。

年間の手残り
年間家賃収入
空室損失
実効家賃収入
年間の現金支出
不動産所得(概算)
所得税・住民税(概算)
月平均の手残り

計算式

年間手残り = 実効家賃収入 − 現金支出 − 税金 − ローン元金返済額

減価償却費は現金支出ではありませんが、不動産所得の計算上は経費として扱っています。

修繕積立金、ローン利息、損益通算などの税務上の扱いは、契約内容や個別事情によって異なります。本シミュレーターは概算です。

家賃収入から差し引く必要経費一覧

不動産所得を計算する上で、家賃収入から差し引くことができる費用を「必要経費」と呼びます。

これらを漏れなく計上することで、課税対象となる所得を抑える効果があります。

必要経費として認められる費用には、マンションの管理・維持に関する費用や、賃貸経営に直接かかる費用が含まれます。

例えば、管理会社に支払う手数料や、入居者募集のために不動産会社に支払った広告宣伝費も対象になります。

これらの必要経費を正確に把握し、確定申告で計上することが、賃貸経営における節税の基本となります。

管理費や修繕積立金の値上げ可能性

収支を計算する上で見落としがちなのが、管理費や特に修繕積立金が将来値上げされる可能性です。

修繕積立金は、十数年に一度行われる大規模修繕工事に備えて、マンションの所有者全員で積み立てるお金を指します。

近年、建築資材の価格高騰や人件費の上昇を背景に、当初の修繕計画通りに積立金が集まらず、途中で値上げに踏み切るマンション管理組合が少なくありません。

国土交通省の「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、工事費用が予定より上昇した割合は全体の4割近くにのぼります。

長期的な収支シミュレーションを行う際は、こうした費用の増加リスクも織り込んでおく必要があります。

空室期間や原状回復費用の見込み

賃貸経営には、入居者が決まらない「空室」の期間と、退去時に発生する「原状回復費用」という2つの大きなリスクが常に伴います。

これらは収益を直接圧迫する要因になるため、あらかじめ損失として見込んでおくことが大切です。

一般的に、年間の家賃収入のうち5%〜10%は空室による損失として考えておくと、より現実的な収支計画になります。

例えば、家賃18万円なら、年間で約11万円〜22万円の減収を想定します。

また、入居者が入れ替わる際には、壁紙の張り替えやハウスクリーニング代といった原状回復費用が数十万円単位でかかることもあります。

これらの突発的な支出に備え、家賃収入の一部を修繕費として積み立てておきましょう。

不動産所得にかかる税金と減価償却の仕組み

賃貸経営で得た利益には、所得税と住民税がかかります。

この税金の計算の基になるのが「不動産所得」です。

不動産所得とは、年間の総収入金額(家賃収入など)から、必要経費を差し引いた金額を指します。

必要経費の中でも特に重要な会計上の手続きが「減価償却」です。

これは、建物の購入代金を、法的に定められた使用可能な期間(法定耐用年数)にわたって分割し、毎年少しずつ経費として計上する仕組みを指します。

実際にお金が出ていくわけではありませんが、帳簿上で経費を計上できるため、課税対象となる不動産所得を圧縮し、税負担を軽くする効果があります。

ただし、自宅として利用していたマンションを賃貸に出す場合は、住んでいた期間の価値の目減り分を考慮して減価償却費を計算する必要があります。

計算が複雑になるため、税理士などの専門家に相談するのが確実です。

年間の手残りと実質利回り

賃貸経営の成否を判断する上で最も重要な指標は、税金やローンの返済をすべて終えた後、最終的に年間でいくらの現金が手元に残るかという「キャッシュフロー」です。

年間の手残りは、不動産所得から所得税・住民税を差し引き、そこへ会計上の費用である減価償却費を足し戻します。

最後に、経費にはなりませんが実際の支出であるローン元金の返済額を差し引いて計算します。

この手残りがプラスであれば、賃貸経営が黒字であると判断できます。

反対にマイナスであれば、給与収入などから補填する必要が出てきます。

この年間の手残りを物件の購入価格で割ったものが「実質利回り」です。

表面的な利回り(年間家賃収入 ÷ 物件価格)だけでなく、この実質的な利回りを算出して、自身のマンションを貸し出すことが本当に有利な選択なのかを冷静に判断しましょう。

「貸してから売る」場合の3つの重要知識

「とりあえず貸す」という選択が、将来の売却時に思わぬ制約となることがあります。

特に、住宅ローン、税金の特例、賃貸契約の種類という3つのポイントは、事前に理解しておくことが大切です。

まずは、多くの方が気になる住宅ローン返済中の物件を貸し出す場合のルールから確認していきましょう。

住宅ローン返済中の賃貸転用と金融機関への届出

住宅ローンは、契約者本人が居住することを前提とした融資です。

そのため、金融機関に無断で賃貸に出すことは契約違反にあたります。

契約違反が発覚した場合、ローンの一括返済を求められるリスクがあります。

しかし、転勤などやむを得ない事情がある場合は、事前に金融機関へ相談し、所定の手続きを踏むことで賃貸が認められるケースも少なくありません。

必ず賃貸募集を始める前に、借入先の金融機関へ確認しましょう。

住宅ローン控除も、ご自身が住んでいない期間は適用対象外となるため注意が必要です。

金融機関の承諾を得て、契約条件を正しく理解した上で賃貸に切り替えることが重要となります。

居住用財産3,000万円特別控除の適用期限

居住用財産3,000万円特別控除とは、自宅を売却した際に得た利益(譲渡所得)から最大3,000万円を差し引ける税金の特例です。

「一度でも貸すと使えなくなる」と誤解されがちですが、そうではありません。

この特例は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すれば適用できる可能性があります。

例えば、2024年5月に転居した場合、2027年12月31日までに売却すれば対象となり得ます。

賃貸期間が長引くと、この期限を過ぎてしまい、多額の税金を納めることになりかねません。

貸し出す前に、いつまでに売却する必要があるのかを正確に把握しておくことが肝心です。

普通借家契約と定期借家契約の違いと出口戦略

普通借家契約は、入居者の権利が強く保護されており、貸主の都合だけで退去を求めることが難しい契約形態です。

「将来戻ってきたい」「期限が来たら売りたい」と考えていても、正当な事由がない限り契約更新を拒否できません。

一方で、定期借家契約は、契約期間の満了とともに確実に契約が終了します。

将来の計画が決まっている場合は、こちらの契約形態が適しています。

入居者がいる状態で売却する「オーナーチェンジ」は、購入者が投資家に限られるため、空室の状態よりも売却価格が下がる傾向があります。

将来の出口戦略を考え、どちらの契約を結ぶか慎重に判断しましょう。

まずは売却査定と賃料査定でマンションの価値を把握

マンションを売るか貸すかの判断に迷ったとき、最初にすべきことはご自身のマンションの現在価値を数字で正確に把握することです。

売却査定と賃料査定の両方を取得し、客観的なデータに基づいて比較検討することが、後悔しない選択への第一歩となります。

まずは机上査定や簡易査定を利用して、売却価格と家賃の目安を知ることから始めましょう。

その数字をもとに、この記事で紹介したシミュレーションに当てはめてみることで、ご自身の状況に合った選択肢が見えてきます。

売却と賃貸の比較表作成

判断を客観的に行うために、売却した場合の手取り額と賃貸した場合の年間実質収支を並べて比較できる一覧表を作成します。

感情や漠然としたイメージだけで判断するのではなく、具体的な数字に落とし込むことで、それぞれのメリット・デメリットが明確になります。

比較表を作成する際は、売却査定価格や想定家賃だけでなく、住宅ローン残高、売却や賃貸にかかる諸費用、そして税金まで含めて計算することが重要です。

最低でも5年後、10年後といった将来の収支予測も加えておくと、長期的な視点での判断が可能になります。

この比較表を完成させることで、売却による一時的な資金と、賃貸による継続的な収入のどちらがご自身のライフプランに適しているかを、数字に基づいて判断できるようになります。

不動産会社による査定価格の根拠確認

不動産会社から査定価格が提示されたら、その金額だけを見るのではなく、なぜその価格が算出されたのか、詳細な根拠を確認することが大切です。

査定価格は不動産会社によって異なる場合があるため、その理由を理解することが納得のいく判断につながります。

具体的には、査定の根拠となった近隣の類似物件の成約事例を最低でも3件以上提示してもらいましょう。

ご自身のマンションのどのような点がプラス評価で、どのような点がマイナス評価になったのかを詳しく聞くことで、価格の妥当性を見極めることができます。

複数の不動産会社から査定を取り、それぞれの根拠を比較検討することで、ご自身のマンションの適正な市場価値をより深く理解できます。

査定結果に基づく家族との相談

売却と賃貸の比較表が完成したら、その客観的な数字をもとにして、ご家族全員で今後のライフプランについて話し合うことが何よりも重要です。

マンションは家族にとって大きな資産であり、その活用方法は家族全員の将来に関わります。

話し合いでは、将来的にそのマンションに戻ってくる可能性があるのか、子どもの教育資金や老後資金として売却資金をいつまでに活用したいのかなど、最低でも3つ以上の視点で検討しましょう。

数字だけでは見えてこない、家族それぞれの想いや価値観を共有する良い機会になります。

売却と賃貸、どちらの選択にもメリットとデメリットが存在します。

家族全員がそれぞれの選択肢を理解し、納得した上で結論を出すことで、どの道を選んでも後悔のない、未来に向けた前向きな一歩を踏み出せます。

よくある質問(FAQ)

自宅マンションを賃貸に出す際、住宅ローン返済中であることを金融機関に黙っていても問題ないですか?

絶対にやめてください。

住宅ローンは契約者本人が住むことを条件に融資されるため、無断で賃貸に出すことは契約違反にあたります。

発覚した場合、融資金の一括返済を求められる重大なリスクがあります。

転勤などやむを得ない事情がある場合は、正直に金融機関へ相談しましょう。

必要な手続きを踏むことで、賃貸が認められるケースも少なくありません。

マンションを貸してから売る場合、3000万円控除はいつまで利用できますか?

「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」は、その家に住まなくなった日から3年を経過する日が属する年の、12月31日までに行った売却が対象となります。

例えば2024年5月に転居して賃貸に出した場合、2027年12月31日までに売却を完了させる必要があります。

この期限を過ぎると特例は適用できないため、賃貸期間を考える上で非常に重要な判断基準です。

賃貸経営で赤字が出たら、給与所得と合算して節税できるというのは本当ですか?

はい、家賃収入から必要経費を差し引いた不動産所得が赤字になった場合、給与所得など他の黒字の所得と合算(損益通算)して、全体の所得税や住民税を軽減できます。

ただし、赤字のうち土地を取得するために借り入れたローンの利息に相当する金額は、損益通算の対象になりません。

赤字の全額で節税できるわけではない点に注意が必要です。

将来、マンションに戻るかもしれない場合、定期借家と普通借家のどちらで貸すべきですか?

将来戻る時期や、空室にして売却したい時期が明確に決まっているなら、契約期間の満了とともに確実に契約が終了する「定期借家契約」が適しています。

入居者の権利が強く保護される普通借家契約では、貸主側の「戻りたい」「売りたい」という都合だけでは契約更新の拒否が難しく、将来のマンション売却計画に影響が出ることがあります。

入居者がいる状態のオーナーチェンジで売却すると、なぜ価格が下がるのですか?

購入者が、ご自身で住みたい実需層ではなく、家賃収入を目的とする投資家に限定されるためです。

投資家は利回りを厳しく評価するため、価格交渉がシビアになる傾向にあります。

また、購入前に室内を細かく確認できないことや、現在の賃貸条件をそのまま引き継ぐ必要がある点も、空室物件と比べて売却価格が調整される要因になります。

管理組合の決定で修繕積立金が値上がりした場合、その分を家賃に転嫁できますか?

契約期間の途中で、貸主が一方的に家賃を値上げすることは困難です。

家賃の金額は、あくまで周辺物件の相場との比較で決まります。

そのため、修繕積立金の値上げを理由に、入居者の合意を得て家賃を上げることは難しいのが実情です。

長期的な賃貸収支シミュレーションには、こうしたコスト増のリスクも必ず含めて検討してください。

まとめ「売却と賃貸の手取り額を比べて後悔のない選択を」

マンションを売るか貸すかは、家賃の高さや売却価格だけでは判断できません。

将来そのマンションに戻る可能性、住宅ローン残高、売却後の手取り額、賃貸した場合の年間収支を並べて検討することが大切です。貸す場合は、空室や修繕費、管理の手間だけでなく、金融機関への届出、3,000万円特別控除の期限、賃貸借契約が将来の売却に与える影響も確認しておきましょう。

最初に行うのは、売却査定と賃料査定による現在価値の把握です。査定額と想定家賃がわかれば、住宅ローンや諸費用を含めた比較ができます。感覚だけで決めず、具体的な数字を家族で共有したうえで、自分たちのライフプランに合う方法を選びましょう。

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貸してから売る場合は、税金の特例や賃貸借契約が売却時期に影響します。「とりあえず貸す」と決める前に、売却した場合の価格も確認しておきましょう。

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この記事を書いた人

クラシエステート株式会社とアップライト合同会社が運営する「東京マンション売却」の編集部です。データに基づいた分析を、わかりやすい記事にまとめています。

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