自由が丘東地区再開発の分譲価格はどうなるか|近隣中古データから探る価格動向

自由が丘(目黒区)の中古マンション(2023年第1四半期〜2026年第1四半期) 坪単価中央値:362.1万円(58件)/築5〜10年に絞ると坪単価中央値:661.2万円(5件、参考値)|出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ「成約価格情報」を自社集計|集計対象:目黒区自由が丘

自由が丘駅の東口で、目黒区内では過去最大規模となる再開発が動き出しています。地上25階、高さ約95メートルの複合タワーに、住宅は約250戸の計画です。

そこで今、自由が丘のマンション価格はどう動くのか? 中古市場にどんな影響があるのか? そういった点に、関心が集まっています。

この記事では、自由が丘エリアの中古成約データを自社集計し、そこから東地区の想定坪単価を逆算するとともに、再開発が自由が丘全体の価格にどう波及するかを整理します。買うべきか、売るべきかの判断材料になるように留意して制作しました。

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目黒区全体の相場・町名別データ・築年数の影響については、上記の記事で詳しく解説しています。

立石秀彦

この記事は「東京マンション売却編集部」が作成し、以下の監修者が内容を確認しています。

立石秀彦

宅地建物取引士/JSHI公認ホームインスペクター アップライト合同会社 代表

雑誌編集者として実業之日本社に勤務後、沖縄で不動産会社(沖縄かりゆし不動産)を約10年経営。現在はアップライト合同会社の代表として、関東・関西・沖縄の不動産会社と連携し、不動産関連データ分析および宅建業を運営。

目次

自由が丘東地区再開発の全容と住宅スケジュール

自由が丘東地区第一種市街地再開発事業は、目黒区自由が丘一丁目10〜13番の約0.9ヘクタールを対象にしています。

計画の中身を整理すると、以下のようになります。

  • 地上25階・地下3階、最高高さ約95メートル
  • 延床面積 約62,000平米(住宅は約250戸)
  • 地下1階〜地上4階が商業・業務、5階〜25階が住宅

事業協力者には東急株式会社と三菱地所株式会社が参画しています。約90名の地権者のうち、都市計画原案の段階で約9割の同意を取得済みです。

都市計画決定は2025年10月8日に告示されました。今後は2026年度に組合設立認可、2027年度に権利変換計画認可、2028年度に着工という流れで、竣工は2031年度が予定されています。分譲価格や間取りの詳細が公表されるまでには、まだ数年かかります。

先行する「自由が丘一丁目29番地区(JIYUGAOKA MUSE SQUARE)」は2026年7月に竣工しましたが、その計画は約170戸の住宅の大半が賃貸住宅でした。東地区はこれと違い、約250戸の分譲中心の計画です。目黒区内の再開発は、進んでも必ずしも中古市場に出回る分譲の選択肢が増えるとは限らないという傾向がありますが、東地区分譲マンション・中古マンション市場に与える影響も大きいと予測されています。

自由が丘の中古坪単価を自社集計した結果

東地区の価格を予想する前に、自由が丘(目黒区)の中古マンション成約データを、国土交通省 不動産情報ライブラリ「成約価格情報」から自社集計しました。対象は2023年第1四半期〜2026年第1四半期の58件です。

坪単価の中央値は362.1万円でした。この数字は、ハブ記事で扱った目黒区の町名別データ(自由が丘:坪344.7万円・直近3年41件)と近い水準です。

築年数別に見ると、傾向がはっきり出ます。

築年帯件数坪単価中央値
〜5年4件675.5万円
6〜10年1件595.0万円
21〜25年11件456.0万円
26〜30年13件467.9万円
46〜50年17件307.0万円

築5〜10年(あわせて5件)の坪単価中央値は661.2万円でした。件数が少ないため参考値ですが、築年数が古い物件(坪300万〜470万円台)と比べると、明確に高い水準にあることが分かります。

ここで正直にお伝えしておきたいことがあります。ブランズ自由が丘(2024年築)やザ・パークハウス自由が丘フロント(2023年築)のような、駅前の最新ブランドマンションについては、今回のデータの中に該当物件がありませんでした。築1〜2年の物件は、まだ中古として売りに出る件数がほとんどないためです。個別の建物名で坪単価を語ることは、国交省データの性質上そもそもできません(建物名は公開されない仕組みになっています)。

そのため、この記事で東地区の分譲価格を試算する際は、「特定ブランドの推定坪単価」ではなく、築5〜10年という一段階前のグループの実績値(坪600万〜700万円台)を土台にします。

再開発は自由が丘のマンション価格にどう影響するか

東地区そのものの価格だけでなく、自由が丘エリア全体の相場への波及も気になるところです。一般的に、大規模再開発が周辺価格に影響する経路は、主に3つあります。

①「比較対象」が変わる

再開発前は、周辺の築古マンションと比較されていたエリアが、再開発後は新しい複合施設やタワーマンション群と比較されるようになります。相場を語る基準そのものが底上げされる形です。

②地価が面的に上がる

今回の東地区は、都市計画道路の拡幅や歩行者空間の整備など、インフラ整備が街区単位で進みます。実際、自由が丘一丁目の公示地価は、2023年から2026年にかけて年率10%を超えるペースで上昇しており、再開発への期待がすでに周辺一帯の地価に織り込まれている状態です。

③「一駅隣」に実需が流れる

自由が丘そのものの坪単価が上がりすぎると、実需層は隣接駅(都立大学・緑が丘・九品仏・奥沢など)に流れやすくなります。

ただし、注意も必要です。これらの効果が実際に周辺エリアまで波及するのは、一般的に事業が着工〜竣工に近づいてからのケースが多いとされています。東地区はまだ都市計画決定が終わった段階(着工は2028年度予定)なので、現時点の周辺相場の動きは「期待の先取り」の色合いが強いと見ておいたほうがいいでしょう。

加えて、直近の市況にも変化の兆しが出ています。東日本レインズの速報(2026年5月度)では、首都圏の中古マンション成約㎡単価が前年同月比−3.9%となり、2020年4月以来73カ月ぶりに下落しました。長く続いた上昇局面が、そのまま今後も続くと決めつけるのはリスクがあります。

自由が丘の相場全体を確認したい方は、目黒区の町名別データをまとめた記事もあわせてご覧ください。

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自由が丘東地区タワーの予想坪単価シミュレーション

築5〜10年の実績(坪600万〜700万円台)を土台に、新築時のプレミアムと、駅直結・商業一体開発というタワーの特性を加味して、3パターンで試算しました。70平米(約21.17坪)換算での目安です。

シナリオ坪単価の目安70平米の価格目安想定される条件
保守的650万〜750万円1億3,800万〜1億5,900万円市況の減速がそのまま続き、新築プレミアムがほとんど乗らない場合
標準800万〜950万円1億6,900万〜2億100万円中古築浅実績に、新築プレミアムとタワー・複合開発プレミアムを2〜3割程度上乗せ
強気1,000万〜1,150万円2億1,200万〜2億4,400万円最上階・大型住戸など特別仕様、かつ地価上昇が着工まで継続する場合

平均を取ると、坪単価870万円前後(70平米で1億8,500万円前後)あたりが着地点になりやすいと考えています。

この試算は、あくまで築5〜10年という「一つ前の世代」の中古実績を出発点にした推論です。新築分譲時には、中古市場ではすでに失われている「新築プレミアム」が上乗せされるのが一般的ですが、その上乗せ幅がどの程度になるかは、保留床処分の方針が固まるまで分かりません。建築資材や労務単価の高騰がどこまで価格に転嫁されるかによっても、この幅は変わる可能性があります。

一般的に、竣工の2〜3年前になると保留床処分の方針が固まり、価格帯の輪郭が見えてくるケースが多いです。2028年度の着工予定を踏まえると、2029年前後が最初の目安になりそうです。

ご自宅の周辺相場も確認してみませんか?

目黒区・面積・築年数の3項目を入力するだけで、個人情報の入力なしに概算価格を確認できます。国土交通省 不動産情報ライブラリのデータをもとに、宅建士が監修したシミュレーターです。

個人情報不要で、その場ですぐに相場価格を確認できます。

見落とされがちな「地権者比率」とは?

価格の話に目を奪われがちですが、実はもう一つ、事前に知っておいたほうがいいことがあります。

東地区は、約90名の地権者が関わる市街地再開発事業です。住宅250戸のうち、地権者が取得する住戸が相当数を占める見込みです。

これが何に影響するかというと、主に次の2点です。

  • 管理組合の議決権バランス(分譲購入者だけで意思決定しづらい場合がある)
  • 商業フロアと住居フロアの管理費・修繕積立金の按分基準

複合施設は、住宅単体のマンションに比べて共用部の構成が複雑になりがちです。商業テナントの荷さばきスペースや、低層部の設備維持コストが住居側にどこまで按分されるか……。ここは管理規約が固まってみないと分からない部分ですが、一般的に住宅・商業の複合タワーでは、単純な住宅マンションより月々のランニングコストが高めに出るケースが多いという点は、頭に入れておいたほうがいいでしょう。

「駅前の一等地に住める」というメリットと、「毎月の管理費・修繕積立金が想定より重い」というリスク。この両方を天秤にかけて判断することをおすすめします。

資産価値の行方と購入判断基準

再開発の経済効果は、単体の建物更新にとどまりません。敷地の集約によって容積率が有効活用され、生み出される床面積が増える。商業フロアが刷新されてテナント賃料が上がる。高所得世帯が流入して、街全体の消費力が底上げされる……。こうした連鎖によって、自由が丘の地価は今後も上昇圧力を受けやすい構造にあります。

とはいえ、坪単価がいくらでも正当化されるわけではありません。筆者の経験上、周辺の実績相場から大きく離れた価格で購入すると、実需で住む満足度は高くても、10年後のリセールで利益を狙うのは難しくなってきます。

購入を検討するなら、目的によって基準を分けるのが現実的です。

  • 永住目的なら、駅前ランドマークの希少性に納得できるかどうかが判断軸になります
  • 資産防衛・将来の売却を視野に入れるなら、シミュレーションの保守的〜標準シナリオ(坪650万〜950万円程度)の範囲に収まる住戸を優先するほうが安全でしょう

(参考)目黒区「自由が丘未来ビジョン」(2023年2月策定)

まとめ|売買を検討する前に確認しておきたいこと

自由が丘東地区の再開発は、駅前の防災性と資産価値の両方を底上げする大きな事業です。ただし、自由が丘の中古データを見る限り、駅前の最新ブランド物件の相場を裏付ける取引実績はまだ十分ではなく、価格を語るときは「どの実績に基づく数字か」を確認する姿勢が欠かせません。

最後に、実際に動き出す前のチェックリストです。

  1. 金利が1%上昇した場合の月々の返済額を、あらかじめ計算しておく
  2. 自由が丘の築5〜10年クラスの中古成約実績(坪600万〜700万円台)を基準に、提示された価格の妥当性を確認する
  3. 管理費・修繕積立金は「案内された金額」ではなく「複合施設として妥当な水準か」で見る

ご自身の物件の資産価値や、住み替え・売却のタイミングについて相談したい方は、お気軽にお問い合わせください。

手取り額まで含めて、具体的な数字で確認したい方へ

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