世田谷区の中古マンションは、2025年の成約価格(実際に売買が成立した価格)の中央値で6,400万円でした[国土交通省 不動産情報ライブラリ「成約価格情報」・2025年1〜12月・1,734件を自社集計]。
世田谷区は、住居専用地域の割合が23区でもっとも広い区です。区の6割近くが住居専用地域という、いかにも「住宅地の世田谷」らしい数字です。ところが、実際に坪単価がもっとも高いのは、その住居専用地域ではありませんでした。
この記事では、世田谷区の成約価格を町名別・面積別・築年数別に分解し、ご自宅の価格を自分で計算する手順まで解説します。
なお、東京23区全体のマンション価格・価格動向については、以下の記事で解説しています。

世田谷区の成約価格は6,400万円(中央値)

世田谷区の中古マンション(2025年) 平均成約価格:6,957万円/中央値:6,400万円/平米単価:105.2万円(坪単価347.9万円) 対象期間:2025年1〜12月|成約価格ベース|取引件数:1,734件|出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ「成約価格情報」|集計日:2026年7月22日
この記事で「価格」というときは、原則としてこの成約価格(実際に売買契約が成立した金額)を指します。売り出し中の掲載価格ではありません。理由は次の章で説明しますが、成約価格のほうが正確に実態を表すからです。
成約価格を集計すると、平均が6,957万円、中央値が6,400万円で、その差は1.087倍です。23区の中には平均÷中央値が1.5倍を超える区もある一方、世田谷区はそこまで極端ではありません。ただし後述のとおり、平均だけを見て安心できる区でもありません。
売出価格と成約価格の違いを押さえる

「世田谷区 マンション価格」で検索すると、サイトによって数字が大幅に違います。理由は、掲載している数字の性質が違うことにあります。
- 売出価格:売り主が「この値段で売りたい」と設定した金額(成約するとは限らない)
- 成約価格:実際に買い主がついて、契約が成立した金額
それに加えて、集計データの性格による違いも小さくありません。
編集部で世田谷区の成約価格情報(6,850件)と、国が別に公表している不動産取引価格情報(登記データをもとにしたアンケート集計、4,228件)を並べて集計したところ、次のような差が出ました。
| – | 成約価格情報 | 不動産取引価格情報 |
|---|---|---|
| 件数(2021〜2025年計) | 6,850件 | 4,228件 |
| 平均価格 | 6,334万円 | 5,390万円 |
| 平均面積 | 65.2㎡ | 50.8㎡ |
| 坪単価中央値 | 295.6万円 | 330.6万円 |
| 1R・1K・1DKのシェア | 11.6% | 30.2% |
同じ世田谷区、同じ国の統計なのに、平均価格に約944万円の差があります。理由は母集団のちがいです。不動産取引価格情報のほうは1R・1K・1DKといった小型住戸を多く含み、平均面積は50.8㎡(成約価格情報は65.2㎡)しかありません。面積が小さいほど坪単価は高く出るため、総額は安いのに坪単価は逆転する、というねじれも起きています。
条件を揃えると差は小さくなる
そこで、間取り・面積・築年を3LDK・60〜75㎡・築20〜30年に揃えて2025年のみで再集計すると、両者の差は3.2%程度まで小さくなります(成約7,750万円/取引情報7,500万円、いずれも条件固定後の中央値)。
プロの不動産業者は「成約価格」のデータを使っています。売出価格(売り希望価格)で相場を見てしまうと、不動産会社の査定価格とズレが生じる原因になります。
(参考)売出価格と成約価格の違いをさらに詳しく:売出価格と成約価格の違い
世田谷区のマンション価格「3つの特徴」

世田谷区の価格データを、用途地域・成り立ち・駅の分布の3方向から見ると、他の区にはあまり見られない特徴が3つ浮かび上がります。
とくに1つ目は、世田谷区のマンション価格を考えるうえで、もっとも意外に感じる部分です。
①一番高いのは、住宅地ではなく準工業地域
世田谷区は、住居専用地域の割合が57.9%と23区で最も広く、2位の杉並区(45.2%)を大きく引き離しています。「閑静な住宅地」という世田谷区のイメージそのままの数字です。
ところが、成約データを用途地域別に集計すると、坪単価がもっとも高いのは準工業地域でした。2025年の坪単価中央値は準工業地域が390.6万円、住居専用系(1種・2種低層住専、1種・2種中高層住専の合計)は330.6万円、商業系は312.1万円です。世田谷区の顔ともいえる住居専用地域は、価格でいえば真ん中クラスにとどまります。
準工業地域は区内の成約件数のうち2.2%しかありません。面積比ではごく小さな存在なのに、坪単価では最上位に来ています。町名別に見ても、坪単価がもっとも高いのは玉川(次章で詳述)で、二子玉川駅周辺の再開発が進んだエリアが重なっていると考えられます。数の上では少数派の用途地域が、価格では主役になっている。これが世田谷区の1つ目の特徴です。
②住居系用途地域が多いのは震災と私鉄のおかげ
なぜ世田谷区は、ここまで住居専用地域が多い区になったのでしょうか。
江戸時代から明治期にかけて、世田谷は江戸(東京)へ野菜を供給する農村地帯でした。転機は1923年の関東大震災です。下町の平地部で火災被害を受けた中産階級が、地盤の強固な世田谷の台地へ移り住み、これと並行して小田急・東急・京王の前身にあたる私鉄各線が大正末期から昭和初期にかけて相次いで敷設されました。地主や農協による耕地整理(区画整理)が区内全域で進み、現在の整然とした住宅街の骨格ができあがりました。
加えて、世田谷区は内陸の高台に位置し、大田区や江東区のような運河・湾岸沿いの工業用水を持ちません。工場を稼働させる水運がなかったことが、準工業・工業系地域がほとんど配置されないという、今の用途地域構成につながったと考えられます。「住専だらけの区」ができたのは偶然ではなく、震災後の移住と私鉄の敷設、そして地理的条件が重なった結果といえます。
③世田谷区に飛び抜けた「一番の駅」はない
世田谷区の成約物件がもっとも多く利用する駅は桜新町ですが、そのシェアはわずか8.0%です。駅の数は54駅と23区で最多(2位は新宿区の42駅)ですが、突出した中心駅がありません(集中度を示すHHIは438で、23区の中でも低いほうです)。
1つの駅に人と物件が集中する区(例えば勝どき駅に全ストックの3割強が集中する中央区)とは対照的に、世田谷区は54駅に物件が広く薄く分散しています。
世田谷区のマンション価格推移(2021〜2025年)

今回自社で集計を行ったのは2021年第1四半期から2025年第4四半期までの5年分です。
| 年 | 件数 | 平均価格 | 中央値 | 坪単価(平均) | 平均築年数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2021年 | 1,269件 | 5,677万円 | 5,500万円 | 272.6万円 | 23.3年 |
| 2022年 | 1,333件 | 5,918万円 | 6,000万円 | 289.5万円 | 24.5年 |
| 2023年 | 1,229件 | 6,389万円 | 6,200万円 | 311.4万円 | 24.9年 |
| 2024年 | 1,285件 | 6,522万円 | 6,100万円 | 322.1万円 | 27.1年 |
| 2025年 | 1,734件 | 6,957万円 | 6,400万円 | 347.9万円 | 28.6年 |
| 年 | 中央値 | 坪単価(平均) |
|---|---|---|
| 2021年 | 5,500万円 | 272.6万円 |
| 2022年 | 6,000万円 | 289.5万円 |
| 2023年 | 6,200万円 | 311.4万円 |
| 2024年 | 6,100万円 | 322.1万円 |
| 2025年 | 6,400万円 | 347.9万円 |
※2021年第1四半期は、不動産情報ライブラリのデータ収録開始(令和3年2月)の関係で2ヵ月分のみの可能性があり、件数がやや少なめに出ます。中央値・坪単価への影響は小さいので、基準年として扱って差し支えありません。
5年間で坪単価(平均)は約1.28倍になりました。間取り・面積・築年帯をそろえた条件固定の坪単価でも、2021年275.5万円から2025年371.9万円へと着実に上昇しています(前年比は2022年+8.0%、2023年+4.2%、2024年+6.7%、2025年+12.5%)。見かけの平均前年比(2025年+6.7%)よりも、条件をそろえた実際の上昇率のほうが大きく出ており、成約件数の増加(1,285件→1,734件)にともなって取引物件の構成がやや変わったことがうかがえます。
直近の動きについては、東日本レインズが毎月公表する速報のほうが早く出ます。2026年6月度の速報(7月10日公表)では、首都圏の中古マンション成約㎡単価が82.64万円で前年同月比-0.8%、成約件数は4,241件で同-1.3%と、いずれも2ヵ月連続で前年を下回りました。東京都に限ると成約件数は2,136件で同-9.5%、東京都区部は6ヵ月連続で前年割れが続いています(参考:東日本レインズ「首都圏不動産流通市場の動向」2026年6月度)。この点は後述の「今後どう推移するか」の章で改めて触れます。
町名別に見ると坪単価2.46倍の差

町名・最寄駅・築年数・徒歩分の4つの軸で坪単価の差を比べたところ、世田谷区でもっとも差が大きいのは「町名」でした(直近3年・2LDK以上中心・52町名・各10件以上のサンプルで判定)。
直近3年の成約データ(2023〜2025年、2LDK〜4LDK・3DK、50㎡以上、各町10件以上のサンプル)で、坪単価中央値の高い町・低い町を並べました。
| 町名 | 坪単価中央値 | 件数 |
|---|---|---|
| 玉川 | 542.2万円 | 100件 |
| 代沢 | 508.6万円 | 27件 |
| 桜新町 | 448.6万円 | 51件 |
| 池尻 | 434.5万円 | 67件 |
| 瀬田 | 409.1万円 | 71件 |
| 太子堂 | 407.1万円 | 40件 |
| 用賀 | 404.0万円 | 81件 |
| 三軒茶屋 | 400.4万円 | 46件 |
| 成城 | 330.6万円 | 102件 |
| 経堂 | 304.7万円 | 44件 |
| 砧 | 303.0万円 | 79件 |
| 南烏山 | 264.5万円 | 85件 |
| 北烏山 | 244.7万円 | 76件 |
| 鎌田 | 229.2万円 | 41件 |
| 玉堤 | 224.8万円 | 39件 |
| 大蔵 | 220.4万円 | 17件 |
出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ「成約価格情報」を編集部で集計(2023〜2025年、世田谷区)
同じ世田谷区でも、玉川と大蔵では坪単価が2.46倍違います。玉川は二子玉川駅周辺のエリアで、駅前の再開発が進み、大型商業施設や高層マンションが立地しています。前章で触れた「一番高いのは準工業地域」という特徴と重なるエリアです。一方、大蔵は多摩川に近く、砧公園に隣接する住宅地で、駅からやや距離のある落ち着いたエリアです(サンプル17件のため参考値として見てください)。
区全体の中央値6,400万円を、いきなり自分の物件に当てはめないほうがいいのは、こういった理由によります。まずは町名レベルで具体的な事例を探すことが、マンション価格を確実に把握することにつながります。
世田谷区マンションの面積・間取り別の相場

世田谷区全体のマンションの成約価格を、面積帯ごとにまとめると次のようになります(2025年)。
| 面積帯 | 件数 | 中央値 | 坪単価中央値 |
|---|---|---|---|
| 〜40㎡ | 293件 | 2,100万円 | 236.1万円 |
| 40〜60㎡ | 531件 | 5,000万円 | 310.7万円 |
| 60〜80㎡ | 647件 | 8,300万円 | 371.9万円 |
| 80〜100㎡ | 198件 | 9,500万円 | 351.3万円 |
| 100㎡〜 | 65件 | 1億2,000万円 | 330.6万円 |
| 面積帯 | 中央値 | 坪単価中央値 |
|---|---|---|
| 〜40㎡ | 2,100万円 | 236.1万円 |
| 40〜60㎡ | 5,000万円 | 310.7万円 |
| 60〜80㎡ | 8,300万円 | 371.9万円 |
| 80〜100㎡ | 9,500万円 | 351.3万円 |
| 100㎡〜 | 1億2,000万円 | 330.6万円 |
単身・カップル向けの40㎡未満と、ファミリー向けの60〜80㎡では、坪単価に約136万円の差があります。60〜80㎡帯の坪単価がもっとも高いのは、世田谷区でもっとも取引が活発な、ファミリー向け2LDK・3LDKがここに集中しているためです。100㎡を超えると坪単価がやや下がりますが、これは広めの住戸ほど総額が上がりやすく、買える層が限られるため、坪単価では割安に出る傾向があるためと考えられます。
築年数別の坪単価

次に、築年数と坪単価の関係を、10年刻みで集計しました(2021〜2025年の5年計)。
| 築年帯 | 件数 | 坪単価中央値 |
|---|---|---|
| 築10年以内 | 1,246件 | 390.9万円 |
| 築11〜20年 | 1,777件 | 330.6万円 |
| 築21〜30年 | 1,337件 | 308.5万円 |
| 築31〜40年 | 879件 | 227.7万円 |
| 築41年〜 | 1,545件 | 217.2万円 |
| 築年帯 | 坪単価中央値 |
|---|---|
| 築10年以内 | 390.9万円 |
| 築11〜20年 | 330.6万円 |
| 築21〜30年 | 308.5万円 |
| 築31〜40年 | 227.7万円 |
| 築41年〜 | 217.2万円 |
もっとも大きな下げ幅は、築21〜30年から築31〜40年にかけての区間です(308.5万円→227.7万円、-26.2%)。世田谷区の成約データ全体では、築年中央値が26年、築40年超の割合が30.2%を占めており、ストックの3割はこの下げ幅を越えた先にある物件ということになります。世田谷区は住居専用地域が多い分、大規模タワーマンションのようなSRC造の比率は11.3%と23区で最も低く、低中層のRC造中心のストックという性格も、この段差に影響していると考えられます。
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価格を左右する7つの条件

区・面積・築年数のほかにも、成約価格に影響する条件があります。
- 町名・エリア … 玉川と大蔵で坪単価2.46倍。二子玉川など駅前再開発エリアか、住宅地の奥まったエリアかで相場感が大きく変わります。
- 用途地域 … 世田谷区では、面積比では小さい準工業地域が坪単価では最上位に来ます。「住居専用地域だから資産価値が高い」とは限りません。
- 最寄駅と路線 … 田園都市線・小田急線・東急東横線・京王線など、複数の私鉄が区内を通り、路線によって相場感が異なります。
- 駅からの距離 … 世田谷区は徒歩1分あたり-2.29%と、距離が坪単価に与える影響が比較的大きい区です(回帰分析、n=4,298、R²=0.556)。
- 専有面積 … 60〜80㎡帯がもっとも坪単価が高く、この記事の主戦場です。
- 築年数 … 築21〜30年から築31〜40年にかけて坪単価が26%下がります。1981年6月の新耐震基準の境目に近い時期です。
- 再開発・都市計画の進捗 … 二子玉川周辺は再開発が進んだ既存エリア、千歳烏山駅前は超高層再開発が2026年度に都市計画決定を目指す準備組合段階です。進捗度合いによって、価格への織り込まれ方が違います。
これらは一般的な傾向であり、個別の物件によって当てはまらないケースもあります。実際の価格は、これらの条件を組み合わせて総合的に決まることになります。
世田谷区のマンション価格は今後どう推移するか

2026年6月の東日本レインズ月例データ(首都圏全体、7月10日公表)では、中古マンションの1㎡あたり平均成約価格が82万6,400円で前年同月比-0.8%、1戸あたり平均成約価格も5,208万円で同-0.02%と、いずれも2ヵ月連続で前年を下回りました。成約件数は4,241件で同-1.3%と、3ヵ月連続の減少です。新規登録件数・在庫件数はともに前年を上回っており、供給が増える一方で成約が伸び悩む局面に入っています(参考:東日本レインズ「首都圏不動産流通市場の動向」2026年6月度)。
東京都に限ると、成約件数は2,136件で前年同月比-9.5%と落ち込みが目立ちます。東京都区部の成約件数は6ヵ月連続で前年を下回っている一方、多摩地域は3ヵ月連続で前年を上回っており、都区部と郊外で明暗が分かれています。東京カンテイの集計(売り出し価格ベース)でも、東京23区は2026年4月時点で前月比+2.4%・24ヵ月連続の上昇となっていますが、これは価格水準の高い都心部の取引シェアが拡大した影響が大きいとカンテイ自身が説明しており、値下げに転じた物件の割合(価格改定シェア)は49.1%まで上がり、直近のピークを上抜けています。
世田谷区に関しては、エリアごとに今後の材料が異なります。玉川エリア(二子玉川駅周辺)はすでに再開発が進み、現時点の坪単価にも表れています。一方、千歳烏山駅前広場南側地区では、地上34階建て・高さ約140mの超高層再開発が計画されており、2026年度中の都市計画決定を目指す準備組合段階です。完成は2034年度の見込みで、まだ計画段階の話であり、短期的な価格変動の材料として見るのは早計です。
これらはあくまで首都圏全体・東京都区部の速報値と、世田谷区の都市計画に関する情報であり、世田谷区単体の最新四半期の成約データはまだ確報として公表されていません(2026年7月時点)。ここまでの数字は2025年通年の確定値ですが、この章だけは2026年に入ってからの速報値です。2つの時間軸が混ざっている点にご注意ください。
いずれにしても、金利の動向、在庫の増減、再開発の進み具合は、世田谷区の価格を占ううえで引き続き注目しておきたい要素です。価格の予測を断定することはできませんが、「これまでのように右肩上がりが続く」という前提だけで判断するのは、リスクがあると編集部では考えています。
マンションを売る・持つ・貸すの判断基準

価格が分かったところで、次に考えたいのは「今売るべきか」です。
判断の軸になるのは、主に次の5点です。
- 住宅ローンの残債(売却額で完済できるか)
- 売却後に手元に残る金額(後述の「手取り額」の章で計算します)
- 住み替え先の価格水準
- 建物の築年数・大規模修繕の予定
- ご家族の予定(転勤・進学・介護など)
売却・保有・賃貸のどれを選ぶべきかは、価格だけでなく、これらの条件を組み合わせて決まります。判断基準を詳しくまとめた記事がありますので、あわせてご覧ください。
(参考)判断基準を詳しく:マンションは売却・保有・賃貸のどれを選ぶか
自分のマンションの価格を調べる手順
区全体の相場が分かっても、個別具体的なマンションの価格には当てはまりません。ここまで見てきたとおり、世田谷区は町名によって坪単価が2倍以上変わる区だからです。
自分の物件に近い価格を計算する手順は、次のとおりです。
- 近い成約事例を3〜10件集める … 同じ町名の事例を優先します。
- ㎡単価の中央値を出す … 平均ではなく中央値を使うと、極端な事例に引っ張られにくくなります。
- 築年数を補正する … 前述の築年帯別の表を参考に、築年数が近い事例を優先してください。
- 面積帯をそろえる … 〜40㎡/40〜60㎡/60〜80㎡/80〜100㎡/100㎡〜のどの帯に該当するか確認します。
- 売出価格ではなく、成約可能価格として考える … 査定額や売出価格ではなく、実際に売れる水準を意識します。
これを手作業でやろうとすると、それなりに手間がかかります。そこで、区・面積・築年数の3項目を入力するだけで、個人情報の入力なしに概算価格を確認できるシミュレーターをサイトのトップページに用意しています。国土交通省 不動産情報ライブラリのデータをもとに、宅建士が監修しています。
なお、シミュレーションの元になっている国土交通省のデータは、面積が5㎡刻みで公表されています。「70㎡」という数字も、実際には67.5〜72.5㎡の物件が混ざっているということです。そのため、シミュレーション結果はあくまで目安としてご利用ください。町名や向き、リフォームの有無によって、実際の価格は変わります。
査定額が不動産会社によって違う理由

複数の不動産会社に査定を依頼すると、数百万円から、時には1,000万円以上の差が出ることがあります。
高い査定額を提示されたときに確認しておきたいポイントは、次のとおりです。
- 類似の成約事例が示されているか(売出事例だけで計算していないか)
- 高い査定額の根拠が具体的に説明されているか
- 査定価格と、実際に売れそうな価格が分けて説明されているか
- 複数社の査定額に差がある場合、その理由を担当者が説明できるか
世田谷区は、前の章で見たとおり町名による価格差が大きい区です。査定する会社が、どの町名・どの用途地域の事例を根拠にしているかによって、査定額の幅はさらに広がりやすくなります。査定額が高いこと自体は悪いことではありませんが、「売り出してみたものの反響がなく、結局値下げすることになった」というケースは珍しくありません。査定額の検証方法をまとめた記事もあわせてご確認ください。
(参考)査定額の確認方法を詳しく:マンション査定額の検証方法
売却後に手元に残る金額
価格が分かっても、その金額がそのまま手元に残るわけではありません。売却には諸費用と税金がかかります。
一般的にかかる費用の目安は、次のとおりです(物件や条件によって変わります)。
- 仲介手数料:成約価格の3%+6万円+消費税(成約価格400万円超の場合の速算式)
- 抵当権抹消登記費用:数万円程度
- 印紙税:数千円〜数万円程度(契約金額による)
- 譲渡所得税・住民税:売却益(譲渡所得)が出た場合にかかる
税率は所有期間によって大きく変わります。一般的に、所有期間が5年を超える「長期譲渡」であれば税率は約20.315%、5年以内の「短期譲渡」では約39.63%になるケースが多いとされています。マイホームを売った場合は、条件を満たせば譲渡所得から3,000万円を控除できる特例が使えることもあります。
世田谷区の成約価格の中央値(6,400万円)を例に、ごく簡易な試算をしてみます。実際の手取り額は物件ごとに大きく異なるため、あくまでイメージとしてご覧ください。
| 項目 | 金額・内容 |
|---|---|
| 目安売却価格 | 6,400万円 |
| 仲介手数料の目安(3%+6万円+消費税) | 約224万円 |
| その他諸費用(登記・印紙等) | 数万円〜十数万円程度 |
| 譲渡所得税・住民税 | 売却益と所有期間、控除の適用によって大きく変動 |
正確な手取り額は、購入時の価格(取得費)や所有期間、特例の適用可否によって変わります。税務については、税理士や、査定担当者への確認をおすすめします。
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まとめ|世田谷区では平均ではなく類似事例で判断する

世田谷区の中古マンションは、2025年の成約価格の中央値が6,400万円でした。ただし、この数字はあくまで区全体の目安です。
世田谷区は住居専用地域の割合が57.9%と23区で最も広く、「閑静な住宅地」というイメージそのままの区です。ところが、実際に坪単価がもっとも高いのは、その住居専用地域ではなく準工業地域でした。震災後の移住と私鉄の敷設が生んだ「住専だらけの区」というイメージと、実際に高く売れる場所は、必ずしも一致しません。区全体の平均を、ご自宅やご検討中の物件にそのまま当てはめると、実際の価格と大きくずれる可能性があります。
大切なのは、次の2段階で確認することです。
- まずは個人情報なしで、区・面積・築年数から概算価格を計算する
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