大田区の中古マンション(2025年) 平均成約価格:4,807万円/中央値:4,500万円/平米単価:約80.0万円(坪単価264.5万円) 対象期間:2025年1〜12月|成約価格ベース|取引件数:1,218件|出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ「成約価格情報」|集計日:2026年7月22日
大田区の中古マンション成約価格は、2025年の中央値で4,500万円です(1,218件、国土交通省「成約価格情報」)。
ただ、大田区の場合は区の北側と南側で住宅街としての性格がかなり違います。
田園調布や久が原のような高台の住宅地(北側)と、蒲田や糀谷のような低地(南側)の市場が、同じ区の中に併存しているのです。地形も、そこに建つマンションの規模も、実は結構違います。
この記事では、北の高台エリアと南の低地エリアで、価格や物件の傾向がどう違うのかを数字で解明していきます。あわせて、南側で進む再開発が価格にどう影響しているかにも触れ、最後は自分の物件の価格を調べる手順まで示します。
なお、東京23区全体の価格動向については、以下の記事で解説しています。

この記事は「東京マンション売却編集部」が作成し、以下の監修者が内容を確認しています。
立石秀彦
宅地建物取引士/JSHI公認ホームインスペクター アップライト合同会社 代表
雑誌編集者として実業之日本社に勤務後、沖縄で不動産会社(沖縄かりゆし不動産)を約10年経営。現在はアップライト合同会社の代表として、関東・関西・沖縄の不動産会社と連携し、不動産関連データ分析および宅建業を運営。
大田区の成約価格は4,500万円(中央値)

2025年、大田区で成約したマンションは1,218件でした。中央値は4,500万円、平均は4,807万円です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 取引件数 | 1,218件 |
| 中央値 | 4,500万円 |
| 平均値 | 4,807万円 |
| 平均÷中央値 | 1.068倍 |
| 中央値㎡単価 | 約80.0万円 |
| 中央値坪単価 | 約264.5万円 |
対象期間:2025年1〜12月/成約価格ベース/出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」成約価格情報
平均÷中央値は1.068倍でした。突出した高額物件に平均が引っ張られる区(例えば千代田区)ほどの乖離はなく、中央値をそのまま相場感として使ってよい水準です。
なお、この数字はあくまで「成約」の価格です。SUUMOやHOME’Sで見かける金額は、まだ売れていない「売出」の価格で、性質が違います(参考:売出価格と成約価格の違い)。この違いを整理しないまま相場を比べると、正しく相場を比較することができません。
大田区のマンション価格「3つの特徴」

台地エリア(北側)と低地エリア(南側)で街の成り立ちが違う
大田区は、武蔵野台地の東端にあたる西側の高台と、多摩川沿いの低地・臨海部で、街の成り立ちがずいぶん違います。
高台側(田園調布・久が原・池上・馬込・山王など)は、大正5年(1916年)に始まった耕地整理で街区が整い、大正12年(1923年)の関東大震災のあと、都心から移り住んだ人たちによって高級住宅地として発展しました(大田区公式資料)。
低地側(蒲田・糀谷・大森南・下丸子など)は、多摩川の水運と鉄道に恵まれ、戦前・戦後を通じて町工場が集積しました。昭和43年(1968年)の新都市計画法で、このエリアの多くが「準工業地域」に指定され、今の用途地域構成につながっています(大田区公式資料)。
実際、成約データの用途地域を高台側・低地側で分けると、この違いがはっきり数字に表れます。
| 区分 | 商業系 | 住居専用系 | 準工業系 |
|---|---|---|---|
| 高台エリア(田園調布・久が原・池上・馬込など) | 20.4% | 41.3% | 10.0% |
| 低地エリア(蒲田・大森・糀谷・下丸子など) | 36.7% | 0.1% | 53.4% |
対象:2025年成約分/出典:自前集計(国交省「成約価格情報」、地区名から分類)
住居専用系は高台エリアで41.3%あるのに対し、低地エリアではほぼゼロ(0.1%)です。逆に準工業系は低地エリアで53.4%と半分を超えます。同じ大田区でも、建てられるマンションの前提条件がまったく違うわけです。
マンションの規模の違い
大田区内のマンションは多くが100戸未満となっています。その点、100戸以上の大規模なマンションは「蒲田駅周辺」「大森駅周辺」「多摩川周辺」に多く立地しています。この点も用途地域の問題が関係していると考えていいでしょう。
価格はあまり変わらない
しかし、ここまで用途地域やマンションの規模が違っても、マンションの坪単価の差がそこまで大きくない点は目を引きます。
| 区分 | 2025年坪単価(中央値) | 件数 |
|---|---|---|
| 高台エリア | 273.0万円 | 548件 |
| 低地エリア | 264.5万円 | 670件 |
区の南北での価格差は約3.2%です。用途地域による印象ほどには、価格差が開いていません。低地エリアは準工業地域が多い分、駅前の中高層マンションが供給されやすく、利便性で高台エリアに近い水準まで坪単価が上がっている、というのが実情と考えられます。
駅は39に分散し主要駅の大森でもシェア1割止まり
大田区には成約データ上で39の駅が登場します。そのためマンションが最も集中する駅(大森)で全体の10.0%にとどまり、駅の集中度を示すHHI(ハーフィンダール指数)は435でした。これは23区の中で下から2位、つまり23区でも屈指の駅分散型です。
蒲田・大森・田園調布・久が原・下丸子……これだけ多くの駅にマンションが分かれて建っているのは、先ほどの「高台と低地」という二つの市場が、それぞれ別の生活圏を有しているいるためだとも考えられます。1つの駅前が区全体の相場を代表するような区(例えば中央区は勝どき駅1駅で33.6%)とは、そもそも街の成り立ちが違います。
なお、大田区は築年数による値下がりも23区で2番目に緩やかです(築1年あたり-1.34%、墨田区に次ぐ水準)。徒歩1分の価値を築年数に換算すると、約1.59年分に相当します(回帰分析、n=2,566、決定係数0.577)。エリアが分散している分、駅距離や築年数といった個別条件の効き方が、区全体の相場よりも効いてくる区、と言えます。
蒲田については坪単価が急伸中
低地エリアの中でも、蒲田(西蒲田・南蒲田・東蒲田・新蒲田・蒲田本町を含む)だけを取り出すと、2025年の坪単価は314.0万円となります。前年(2024年、257.1万円)から22.1%の伸びです。
蒲田駅前では、2025年12月に「京急蒲田駅西口地区地区計画」の変更が告示され、容積率の上限が500%から683%へ引き上げられました(大田区都市計画審議会資料)。これに合わせて、京急蒲田センターエリア北地区では地上26階・高さ80mのタワーレジデンス計画(分譲予定約480戸)が進んでいます。ただし、こちらは2032年竣工予定で、まだこれからの計画です。
完成済みの再開発(あすとウィズ、ステーションツインタワーズ糀谷)は2015〜2017年と、少し前の話です。ですので、2025年の急な坪単価上昇を、直近の再開発だけで説明するのは難しい状況です。国交省不動産情報ライブラリに登録された成約件数も125件とエリア単体としては大きくなく、期待感が先行している可能性や、単年のサンプルによるブレも考えられます。今後1〜2年、同じ傾向が続くかどうかを見極める必要があります。
新空港線(蒲蒲線)も、2025年10月に国の事業許可が下り、総事業費約1,248億円で正式に動き出しました。開業目標は2030年代前半とされています(大田区公式資料)。こちらも、計画の存在自体を価格上昇の理由と断定できず、今後の材料の一つとして見ておくのが実務的です。
とはいえ、大田区の低地エリアについて、今後も期待感があることは間違いありません。
大田区のマンション価格推移(2021〜2025年)

以下は面積・間取り・築年数をそろえた条件(2LDK・3LDK、55〜80㎡、築15〜30年)で見た坪単価の推移です。
| 年 | 件数 | 坪単価(中央値) | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 2021 | 169件 | 228.9万円 | — |
| 2022 | 177件 | 251.2万円 | +9.8% |
| 2023 | 187件 | 259.4万円 | +3.2% |
| 2024 | 212件 | 266.5万円 | +2.8% |
| 2025 | 225件 | 282.5万円 | +6.0% |
対象:成約価格情報/条件:2LDK・3LDK、55〜80㎡、築15〜30年
5年間の累積上昇率は+23.4%で、23区の中では下から3番目です。2025年単年の上昇率も+6.0%で、こちらも23区で下から3番目にとどまります。上昇のピークは2022年(+9.8%)で、そこから伸びは落ち着いています。
大田区は「急いで売らなくてもいいし、待てば大きく上がるわけでもない」という、比較的緩やかな値動きが特徴です。築年数で下がりにくいことと合わせると、今の価格から大きく崩れにくい代わりに、大幅な値上がりも期待しにくい、というのが実態に近い評価でしょう。
自分のマンション価格を調べる手順

ここまでの数字は、あくまで大田区全体の中央値です。高台エリアか低地エリアか、駅からの距離、築年数によって、実際の価格帯はかなり変わります。
自分の物件に近い価格を知る手順は、次の3つです。
- エリア(高台側・低地側のどちらに近いか)を確認する
- 駅からの徒歩分数と築年数を、上の回帰分析の係数(徒歩1分=築1.59年分)に当てはめて、近い条件の成約事例を探す
- 匿名査定シミュレーターで、面積・築年数を入力し、目安の価格帯を確認する
売却を考えている場合、シミュレーターで出た金額と、不動産会社から提示される査定額が違うことがあります。会社によって査定額が違う理由については、こちらでまとめています(参考:マンション査定額の検証方法)。
また、今すぐ売らずに賃貸に出す、あるいはそのまま持ち続けるという選択肢もあります。判断のガイドラインについては、以下の記事で解説しました。

売却後に手元に残る金額

マンションを売却した際、成約価格がそのまま手元に残るわけではありません。仲介手数料、抵当権抹消費用、譲渡所得税(保有期間によって税率が変わります)などを差し引いた金額が、実際の手取りになります。
以下のシミュレーターを利用すると、概算価格をすぐに計算できますので、ぜひご利用ください(個人情報不要)。
マンション売却 手取り額シミュレーター
中央値4,500万円の物件を例にすると、仲介手数料(法定上限)だけでもおおよそ150万円前後かかります。ここに抵当権抹消費用や、保有期間5年以下の場合は税率が上がる譲渡所得税が加わるため、事前の試算が欠かせません。
まとめ|大田区は「北か南か」で市場の性格が違う

大田区の相場を数字で見ると、中央値4,500万円という、23区の中では中位の価格に見えます。
実態としては台地の高台エリアと、低地・臨海部のエリアという、生い立ちの違う二つの中古マンション市場が同じ区の中にあります。
とはいえ、用途地域の構成は大きく異なるのに、坪単価の差は3%程度。街の成り立ちや様子は大きく異なるものの、価格ではだいたい同じくらいというのが大田区の特徴です。
南側の蒲田では、地区計画の変更や新空港線を背景に坪単価が上昇しています。去年の価格とはもう違っている可能性がありますから、「今の価格が知りたい」という場合は、以下の無料査定フォームをご利用ください。
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