墨田区のマンション相場は4,800万円|小さな物件と駅前タワマンが共存する区

墨田区のマンション成約価格は、2025年の中央値で4,800万円でした[719件、国土交通省「成約価格情報」(成約価格ベース)]。

ただ、墨田区の相場は一つの数字では語れません。

墨田区には、単身・DINKs向けの小さな住戸と、錦糸町・押上・曳舟といった拠点駅まわりのファミリー向けタワーという、性格の異なる二つの市場が同居しているからです。同じ「墨田区」でも、どちらの市場の物件かで相場の見え方が変わります。

この記事では、町名別・面積別・築年数別に相場を分解し、ご自身の物件が近い価格帯を計算する手順まで示します。

なお、東京23区全体の価格動向については、以下の記事で解説しています。

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立石秀彦

この記事は「東京マンション売却編集部」が作成し、以下の監修者が内容を確認しています。

立石秀彦

宅地建物取引士/JSHI公認ホームインスペクター アップライト合同会社 代表

雑誌編集者として実業之日本社に勤務後、沖縄で不動産会社(沖縄かりゆし不動産)を約10年経営。現在はアップライト合同会社の代表として、関東・関西・沖縄の不動産会社と連携し、不動産関連データ分析および宅建業を運営。

目次

墨田区の成約価格は4,800万円(中央値)

墨田区の中古マンション(2025年) 平均成約価格:5,045万円/中央値:4,800万円/平米単価:90.0万円(坪単価297.5万円) 対象期間:2025年1〜12月|成約価格ベース|取引件数:719件|出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ「成約価格情報」|集計日:2026年7月25日

2025年に墨田区で成約したマンションを国土交通省のデータで見ると、価格の中央値は4,800万円でした。平均は5,045万円で、平均のほうが中央値より245万円ほど高くなっています。

一部の高額物件が平均を押し上げているためです。この差は23区の中では小さいほうで、墨田区の場合は「平均で見ても大きくは外れない」区に入ります。ただし、後ほど見るように、墨田区の相場が読みにくいのは平均・中央値のズレのせいではなく、市場そのものが二層になっているためです。 <!– 表:pc_only –>

項目数値
件数719件
平均価格5,045万円
中央値4,800万円
平均÷中央値1.051倍
平米単価(中央値)90.0万円/㎡
坪単価(中央値)297.5万円
平均専有面積53.8㎡
対象期間2025年1〜12月
データ区分成約価格情報
項目数値
中央値4,800万円
件数719件
坪単価297.5万円

出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ「成約価格情報」。集計日:2026年7月25日

売出価格と成約価格の違いを押さえる

不動産ポータルで見かける「相場」の多くは、売主が希望した売り出し価格です。実際に取引が成立した成約価格とは別物で、両者にはしばしば大きな差があります。首都圏全体では平均で3割前後乖離することも珍しくありません。

この記事で使う数字は、すべて国土交通省の「成約価格情報」、つまり実際に売買が成立した価格です。

(参考)売出価格と成約価格の違いを、23区全体のデータで検証した記事はこちら

墨田区のマンション価格「3つの特徴」

① 狭い部屋と、駅前タワーが同居する

墨田区は、単身・DINKs向けの小さな住戸と、拠点駅まわりのファミリー向け高層マンションという、性格の違う二つの市場が一つの区の中に混ざっています。

不動産経済研究所の調査によると、2024年の投資用マンション(一戸あたり平均専有面積26㎡前後)供給戸数で、墨田区は江東区・大田区に次いで東京都内3位の324戸を記録しました。実際、登記ベースの取引データ(不動産取引価格情報)で間取りを見ると、1Kが46.4%を占めています。区内の取引のほぼ半分が、単身者向けの小さな住戸ということです。

一方で、錦糸町駅北口や押上、曳舟の周辺では、市街地再開発によって商業・住宅複合の高層マンションが継続的に供給されてきました。成約価格情報(実需寄りのファミリー物件が中心)の専有面積中央値は55㎡ですが、これは「区全体が狭い」のではなく、小型の投資用住戸と大型のファミリー向けタワーが両方とも一定量あるために、中間の数字に落ち着いているとみるのが実態に近いところです。

自分の物件がどちらの市場に近いかによって、相場の見え方はまったく違ってきます。

② 広くても坪単価は下がらない

一般に、専有面積が大きくなるほど坪単価(3.3㎡あたりの価格)は下がる傾向があります。ところが墨田区でこの関係を回帰分析で確かめると、面積が広がっても坪単価はほとんど変わりませんでした(面積弾力性-0.030、ほぼゼロ)。

実際、面積帯別に2025年の坪単価中央値を見ても、40〜80㎡のあいだはおおむね290万円台から320万円台で推移しており、大きな差は出ていません(80㎡を超えると価格帯・立地の違いから中央値がやや下がります)。

面積帯件数坪単価中央値価格中央値
〜40㎡189件289.3万円2,500万円
40〜50㎡124件295.7万円4,300万円
50〜60㎡158件297.5万円5,250万円
60〜70㎡145件320.4万円6,400万円
70〜80㎡79件286.5万円6,800万円
80㎡〜24件(参考値に近い件数)259.2万円9,000万円
面積帯坪単価中央値
〜50㎡290万円台
50〜70㎡297〜320万円
70㎡〜260〜290万円

出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ「成約価格情報」(2025年)。集計日:2026年7月25日

「広い部屋のほうが坪単価で損をする」という一般論が、墨田区ではあまり当てはまりません。小さな部屋への需要が強い区だからこそ、広い部屋の坪単価が沈みにくいのだと考えられます。

③ 投資用マンション供給は都内3位

前述のとおり、2024年の投資用マンション供給戸数で、墨田区は東京都内3位の324戸でした(不動産経済研究所「2024年年間 首都圏投資用マンション市場動向」)。1位の江東区(435戸)、2位の大田区(325戸)に迫る水準です。

単身・DINKs層をターゲットにしたコンパクトマンションの供給が、都心近接という立地の強みを背景に、継続的に行われてきたことがうかがえます。ご自身の物件がこうした投資用の小型住戸に該当する場合は、次に説明する町名・駅別の相場よりも、同じような専有面積・間取りの類似事例で判断したほうが実態に近い数字が出ます。

墨田区のマンション価格推移(2021〜2025年)

2021年から2025年までの成約価格の動きを、条件をそろえて(2LDK・3LDK、55〜80㎡、築15〜30年)見ると、次のようになります。

件数坪単価中央値前年比
2021122件227.1万円
2022133件268.6万円+18.2%
2023118件278.7万円+3.8%
2024121件279.7万円+0.4%
2025169件320.4万円+14.5%
坪単価中央値前年比
2022268.6万円+18.2%
2024279.7万円+0.4%
2025320.4万円+14.5%

出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ「成約価格情報」。集計日:2026年7月25日

2022年に18.2%上げたあと、2023〜2024年は3.8%・0.4%とほぼ横ばいが続き、2025年に再び14.5%上がりました。5年累積では+41.1%です。上げて、止まって、また上げる。この動き方自体は23区の中でも珍しく、23区全体で見ても、2022年に上昇のピークが来たのは墨田・北・練馬・大田の4区だけです。

なぜ2025年に再加速したのかは、次の「価格を左右する条件」の章で背景を補足します。

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墨田区マンションの面積・間取り別の相場

墨田区で成約した物件の間取り構成(2025年)は、3LDKが22.1%、2LDKが22.1%と、ファミリー向けの間取りが4割強を占めます。一方で1Kは13.5%、1LDKは16.0%と、単身者・DINKs向けの間取りも一定の割合を占めています。

さきほど見た「狭い部屋と、駅前タワーが同居する」という特徴のとおり、この区は間取り構成そのものが二層に分かれています。ご自身の物件の間取りが1K・1LDK寄りか、2LDK・3LDK寄りかで、参照すべき事例が変わります。

間取り割合(2025年成約)
3LDK22.1%
2LDK22.1%
1LDK16.0%
1K13.5%
2DK5.0%
2LDK+S4.6%
その他16.7%
間取り割合
3LDK・2LDK44.2%
1LDK・1K29.5%
その他26.3%

出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ「成約価格情報」(2025年)。集計日:2026年7月25日

築年数別の坪単価

築年帯ごとに坪単価の中央値を見ると、なだらかに下がるのではなく、段差を伴って下がっていきます(2023〜2025年、専有面積50㎡以上)。

築年帯件数坪単価中央値価格中央値
〜5年29件(参考値に近い件数)350.9万円6,600万円
6〜10年126件342.6万円6,300万円
11〜15年141件330.6万円6,000万円
16〜20年180件291.9万円6,150万円
21〜25年191件289.3万円6,100万円
26〜30年141件279.7万円5,600万円
31〜35年53件220.4万円4,300万円
36〜40年47件242.4万円4,700万円
41年〜145件210.4万円3,600万円
築年帯坪単価中央値
〜15年330〜350万円台
16〜30年280〜290万円台
31年〜210〜240万円台

出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ「成約価格情報」(2023〜2025年)。集計日:2026年7月25日

回帰分析では、墨田区の築年減価は築1年あたり-1.33%程度でした(徒歩1分の価格差が築1.29年ぶんに相当する計算です)。あくまで推定値なので、築10年で13%程度下がる計算になる、という目安としてご覧ください。

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価格を左右する7つの条件

墨田区のマンション価格は、主に次の7つの条件で決まります。

  1. 専有面積 ── ただし墨田区では、面積が広がっても坪単価はほとんど下がりません(前述のとおり)
  2. 築年数 ── 築1年あたり-1.33%程度で、23区の中では最も緩やかな部類です
  3. 駅からの距離 ── 徒歩1分あたり-1.72%程度
  4. 間取り ── 1K・1LDK寄りか、2LDK・3LDK寄りかで参照すべき相場が変わります
  5. 最寄り駅 ── 墨田区には22の駅があり、成約が最も多いのは錦糸町(19.5%)ですが、1駅に極端に偏った市場ではありません
  6. 用途地域 ── 商業地域が64.0%、準工業地域が35.0%を占め、住居専用地域はわずか0.1%です。用途地域による区内の価格差は1.10倍にとどまり、23区の中でも小さいほうです。つまり「どの用途地域か」よりも、①で見た「小型か、拠点駅の大型か」のほうが価格を左右します
  7. 再開発の有無 ── 錦糸町駅北口、押上、曳舟の各地区では市街地再開発が進み、拠点駅まわりの住環境が向上してきました。現在は東武曳舟駅前地区で新たな再開発が計画段階にあり、2025年9月に「東武曳舟駅周辺地区まちづくり方針」が決定、2026年6月に都市計画法の公告を経て、本格的な推進段階に入っています(東京都・墨田区公表資料)。まだ着工前の計画段階であることには注意してください。

墨田区のマンション価格は今後どう推移するか

ここまでの数字は2025年通年の確定値ですが、この章だけは2026年に入ってからの速報値です。2つの時間軸が混ざっている点にご注意ください。

東日本レインズが発表した2026年6月の首都圏不動産流通市場動向によると、首都圏の中古マンション成約件数は4,241件(前年同月比1.3%減)と3ヵ月連続で減少しました。1㎡あたりの平均成約単価は82万6,400円(同0.8%減)、1戸あたりの平均成約価格は5,208万円(同0.02%減)と、いずれも2ヵ月連続の下落です(出典:東日本レインズ「月例速報Market Watch」2026年6月度)。

一方、東京カンテイが公表した2026年6月の中古マンション70㎡価格(売り希望価格ベース)は、東京23区で1億2,741万円(前年同月比+23.3%)でした。売り出し側の希望価格は依然として強含みですが、これは成約価格ではありません。(参考)売出価格と成約価格がなぜ違うのか

墨田区固有の動きとしては、東武伊勢崎線の連続立体交差事業(とうきょうスカイツリー駅〜曳舟駅間)で、2025年3月に下り線の高架切替が完了し、2025年12月には新しい東口改札と下りホームの使用が始まりました。踏切の解消と駅前広場の整備が同時期に進んだことは、2025年に成約価格が再び上がったタイミングと重なっています。ただし、この一致だけで両者に因果関係があると断定はできません。あくまで一つの背景として捉えてください。

首都圏全体では成約件数・単価とも頭打ちの兆しが出始めています。墨田区の2025年の上昇がそのまま続くことを前提にするのは、リスクがあります。

自分のマンションの価格を調べる手順

ここまでの数字はあくまで区全体の中央値・条件固定の推移です。自分の物件に近い価格を知るには、次の手順で絞り込みます。

  1. 間取りを確認する(1K・1LDK寄りか、2LDK・3LDK寄りか)
  2. 専有面積を確認する
  3. 築年数を確認する
  4. 最寄り駅からの徒歩分を確認する
  5. 上記の条件をトップページのシミュレーターに入力する

墨田区は用途地域による価格差が小さい区なので、町名よりも「間取り・面積・築年数」を優先して確認したほうが、実態に近い数字が出ます。その点、以下の匿名10秒査定でも、ある程度実態に近い数字が出るはずです。

23区マンションの匿名10秒査定

マンションを売る・持つ・貸すの判断基準

マンションを「今売るか」「保有を続けるか」「賃貸に出すか」の判断は、価格の動きだけでなく、ローン残債や次の住まいの計画によっても変わります。

(参考)売却・保有・賃貸の判断基準を整理した記事はこちら

査定額が不動産会社によって違う理由

同じ物件でも、依頼する不動産会社によって査定額が数百万円単位で変わることがあります。これは、各社が参照する類似事例の選び方や、査定方法の違いによるものです。

(参考)査定額が会社によって違う理由と、検証方法はこちら

売却後に手元に残る金額

売却価格がそのまま手元に残るわけではありません。仲介手数料・登記費用・ローン残債・譲渡所得税などを差し引いた金額が、実際の手取り額になります。

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    備考(任意)

    まとめ|墨田区では平均ではなく類似事例で判断する

    墨田区のマンション成約価格は、2025年の中央値で4,800万円でした。ただし、この数字を自分の物件にそのまま当てはめるのは危険です。

    墨田区には、単身・DINKs向けの小さな住戸と、錦糸町・押上・曳舟の拠点駅まわりのファミリー向けタワーという、性格の違う二つの市場が同居しています。面積が広がっても坪単価がほとんど下がらないのも、この二極化した需要構造が背景にあります。

    ご自身の物件が近いのはどちらの市場か。まずそこを見極めたうえで、間取り・面積・築年数の近い類似事例と比較することが、実態に近い価格を知る一番の近道です。

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    この記事を書いた人

    クラシエステート株式会社とアップライト合同会社が運営する「東京マンション売却」の編集部です。データに基づいた分析を、わかりやすい記事にまとめています。

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