足立区の中古マンション成約価格は、2025年の中央値で3,400万円でした(920件、国土交通省「不動産情報ライブラリ」成約価格情報)。
足立区は2021年から2025年にかけて成約件数が67.9%増え、23区の中で最も伸びた区です。ところが同じ期間の価格上昇は23区の中で最も小さく、買い手が増えているのに価格には反映されていない…という傾向があります。
この記事では、この「売れているのに上がらない」という足立区特有の動きを、町名・駅・面積・築年数ごとに分解して見ていきます。あわせて、自分の物件がいくらになるのかを計算する手順も示します。
なお、東京23区全体のマンション価格については、以下の記事で解説しています。

この記事は「東京マンション売却編集部」が作成し、以下の監修者が内容を確認しています。
立石秀彦
宅地建物取引士/JSHI公認ホームインスペクター アップライト合同会社 代表
雑誌編集者として実業之日本社に勤務後、沖縄で不動産会社(沖縄かりゆし不動産)を約10年経営。現在はアップライト合同会社の代表として、関東・関西・沖縄の不動産会社と連携し、不動産関連データ分析および宅建業を運営。
足立区の成約価格は3,400万円(中央値)

足立区の中古マンション(2025年) 平均成約価格:3,720万円/中央値:3,400万円/平米単価:54.3万円(坪単価179.5万円) 対象期間:2025年1〜12月|成約価格ベース|取引件数:920件|出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ「成約価格情報」|集計日:2026年7月20日
2025年に成約した足立区の中古マンションは920件でした。価格は次のとおりです。
| 指標 | 金額・数値 |
|---|---|
| 中央値 | 3,400万円 |
| 平均値 | 3,720万円 |
| 平均÷中央値 | 1.094倍 |
| ㎡単価(中央値) | 54.3万円 |
| 坪単価(中央値) | 179.5万円 |
| 専有面積(中央値) | 65.0㎡ |
| 取引件数 | 920件 |
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 中央値 | 3,400万円 |
| 平均値 | 3,720万円 |
| 件数 | 920件 |
対象期間は2025年1〜12月、成約価格情報ベースです。
平均が中央値の1.094倍というのは、23区の中ではかなり小さいほうです(千代田区は1.5倍を超えます)。足立区は高額な特殊事例に平均が引っ張られにくく、平均値を見てもそれほど実態から外れません。
坪単価179.5万円(中央値)は、23区の中で最も低い水準です。ここだけを見ると「安い区」に見えますが、データを見ていて気になったのは、そこではありません。ポイントは、なぜ足立区のマンション価格がここ数年ほとんど動いていないのかです。次の章から見ていきましょう。
足立区のマンション価格「3つの特徴」

足立区では、駅から遠い物件も多く、なおかつよく売れています。その他にも、独特の値動きが多く、成約した物件の価格があまり上昇していないという傾向も。この章で詳しく見ていきましょう。
足立区の取引件数は伸びているものの値上げ幅は控えめ
足立区の成約件数は、2021年の548件から2025年の920件へと67.9%増えました。これは23区の中で最も高い伸び率です(最下位の葛飾区は18.3%)。
一方、価格の上昇は次のとおりです(2LDK・3LDK/55〜80㎡/築15〜30年で条件をそろえた坪単価)。
- 2025年の上昇率:+1.2%(23区の中で最も小さい)
- 2021年から2025年の累積上昇率:+17.3%(23区の中で最も小さい。千代田区の+91.8%の5分の1程度)
買い手は増えているのに、価格には反映されていません。理由として考えられるのは、供給が需要に追いついていることです。足立区は次の章で触れるとおり、駅から離れたエリアにも一定量の住戸があり、選択肢が多いぶん、価格が一点に集中しにくい構造になっていると推測されます。
売主にとっては「売れやすく成約数は多いが、高価格帯は売れにくい」区、というのが実態に近いでしょう。悲観する話ではなく、価格設定を考えるうえでの判断材料として押さえておくとよいところです。
2022年におきた23区の大幅上昇の波に乗らなかった
もう一つ、足立区だけに見られる動きがあります。2022年の坪単価上昇率は+0.3%で、ほぼ横ばいでした。
23区の多くが2022年に大きく値を上げた年で、足立区はその波にほとんど乗っていません。上昇が本格化したのは2023年(+8.0%、この5年間のピーク)からで、23区の中では一歩遅れて価格が動き出した区といえます。
駅から遠くても選ばれている
足立区は、駅からの距離という点でも23区の中でやや特殊です。成約物件の最寄駅までの徒歩時間は、中央値8.0分、平均9.1分でした。駅から5分以内の成約は28.2%にとどまり、これは23区の中でも低いほうに入ります(千代田区は85.8%)。
これは足立区では「駅近以外の物件も多い」ことを示しています。次の章で、この点をもう少し詳しく見ていきます。
駅近だけが足立区ではない

足立区は、区内を大きく5つの地域に分けて考えるとわかりやすくなります(足立区「分譲マンション実態調査」による区分)。
- 千住
- 梅田・江北・新田
- 足立・綾瀬・中川
- 六町・花畑・大谷田
- 西新井・竹の塚・舎人
この5地域では、マンションの性格がかなり違います。たとえば千住地域(千住曙町・千住関屋町など)は、地域内の住宅に占める分譲マンションの割合が63.8%と区内で最も高く、平均住戸面積は52.4㎡とコンパクトな住戸が中心です。対して新田地区は、1棟あたり平均129戸という大規模マンションが多く、平均住戸面積は88.6㎡とファミリー向けが目立ちます(足立区「分譲マンション実態調査報告書」2018年)。
同じ足立区でも、駅前の小型マンションが中心のエリアと、大規模で広めのマンションが中心のエリアが混在しているということです。前の章で触れた「駅から5分以内が28.2%」という数字も、この地域差を反映したものと考えられます。区の資料でも、駅から半径500m圏外に4割超のマンションが立地していることが示されています(足立区「分譲マンション実態調査報告書 概要版」2018年)。
なお、綾瀬エリアでは2025年10月、地上32階・総戸数422戸の大規模タワーマンション(シティタワー綾瀬)が竣工しました。こうした新築タワーの分譲価格は、坪500万円を超える水準で取引されているとみられます。ただしこれは新築の分譲価格であり、この記事で扱っている足立区全体の中古マンション成約価格(坪179.5万円)とは、そもそも母集団が違う数字です。「新築タワーは高い、しかし区全体の中古相場はそこまで動いていない」という2つの事実を、混同せずに見ておく必要があります。
23区の中で足立区がどのくらいの位置にいるかは、こうした「駅前一極集中ではない」構造も含めて理解しておくとつかみやすくなります。
足立区マンションの面積・間取り別の相場

直近3年(2023〜2025年)の成約データを、面積帯別に見ると次のとおりです。
| 面積帯 | 件数 | 坪単価(中央値) | 価格帯の目安(中央値) |
|---|---|---|---|
| 〜50㎡ | 416件 | 158.7万円 | 1,800万円 |
| 50〜60㎡ | 389件 | 162.3万円 | 2,800万円 |
| 60〜70㎡ | 656件 | 170.0万円 | 3,500万円 |
| 70〜80㎡ | 489件 | 193.9万円 | 4,500万円 |
| 80㎡〜 | 188件 | 198.3万円 | 5,600万円 |
| 面積帯 | 件数 | 価格帯の目安 |
|---|---|---|
| 〜50㎡ | 416件 | 1,800万円 |
| 50〜60㎡ | 389件 | 2,800万円 |
| 60〜70㎡ | 656件 | 3,500万円 |
| 70〜80㎡ | 489件 | 4,500万円 |
| 80㎡〜 | 188件 | 5,600万円 |
面積が広くなるほど坪単価も上がる傾向があります。前の章で触れた新田地区(平均88.6㎡)のような大規模ファミリー向けエリアが、80㎡以上の価格帯を押し上げている一因と考えられます。
間取り別では次のようになります。
| 間取り | 件数 | 坪単価(中央値) | 価格帯の目安(中央値) |
|---|---|---|---|
| 1LDK | 111件 | 206.6万円 | 3,000万円 |
| 2LDK | 311件 | 171.9万円 | 3,200万円 |
| 3LDK | 1,024件 | 183.1万円 | 4,000万円 |
| 4LDK | 113件 | 194.5万円 | 5,000万円 |
| 間取り | 件数 | 価格帯の目安 |
|---|---|---|
| 1LDK | 111件 | 3,000万円 |
| 2LDK | 311件 | 3,200万円 |
| 3LDK | 1,024件 | 4,000万円 |
| 4LDK | 113件 | 5,000万円 |
3LDKが1,024件と最も件数が多く、足立区の中古マンション市場の中心的な間取りです。1LDKの坪単価がやや高めなのは、駅前の小型・築浅物件が多く含まれているためとみられます。
築年数別の坪単価

築年数が経つほど、坪単価はどのくらい下がるのでしょうか。以下は、直近3年の成約データ(築年帯別・中央値)です。
| 築年帯 | 件数 | 坪単価(中央値) |
|---|---|---|
| 築10年以内 | 481件 | 251.2万円 |
| 築11〜20年 | 554件 | 206.6万円 |
| 築21〜30年 | 468件 | 163.3万円 |
| 築31〜40年 | 315件 | 126.7万円 |
| 築41年以上 | 306件 | 102.8万円 |
| 築年帯 | 坪単価 |
|---|---|
| 築10年以内 | 251.2万円 |
| 築11〜20年 | 206.6万円 |
| 築21〜30年 | 163.3万円 |
| 築31〜40年 | 126.7万円 |
| 築41年以上 | 102.8万円 |
回帰分析(2LDK・3LDK、n=2,200、R²=0.579)では、築1年あたり坪単価がおよそ1.78%下がる計算になります。駅からの徒歩1分の価値は、築1.4年分の下落幅に相当する計算です。駅近であることは、足立区でも一定の価値を持っています。ただし前の章で見たとおり、駅から離れたエリアの物件が「売れない」わけではなく、地域全体で見れば需要は分散しているというのが実態です。
売出価格と成約価格の違いを押さえる

この記事で扱う数字は、すべて「成約価格」です。ポータルサイトに載っている「売出価格(掲載価格)」とは別物なら、まず押さえておく必要があります。
売出価格は、売主が「このくらいで売れたら」と設定した希望額です。実際に買主がついた金額(成約価格)とは、平均して数%〜1割程度の差が出るのが一般的です。足立区のように取引件数が増えている区では、この差が縮まりやすい一方、値下げをして成約に至る事例も一定数含まれます。
売出価格と成約価格の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。

価格を左右する7つの条件

足立区の坪単価は、主に次の7つの条件で決まります。
- 駅からの距離:徒歩1分ごとにおよそ2.49%下がる計算です
- 築年数:1年ごとにおよそ1.78%下がる計算です
- 専有面積:広いほど坪単価は上がる傾向(面積弾力+0.071)
- 間取り:3LDKが取引の中心。1LDK・4LDKは坪単価がやや高めに出やすい
- 用途地域:足立区は準工業地域が32.7%を占めます。かつて工場が集積していた土地が、マンション用地として転用されやすい構成です。ただし坪単価が最も高いのは商業地域(中央値250.3万円)で、住居専用地域(同158.2万円)より高くなっています。「住居専用地域の方が資産価値が高い」とは限らず、商業地域は容積率が高く高層マンションを建てやすい、という点が効いています
- 管理状態:築25年を超えるマンションでは、長期修繕計画の有無や修繕積立金の状況によって、同じ築年数でも売却のしやすさが変わってくると考えられます。ただし個別の管理状態と成約価格の関係を検証した公的データはなく、あくまで購入検討者が判断材料にする要素の一つです
- 地域内の再開発:綾瀬エリアでは大規模タワー(シティタワー綾瀬、2025年10月竣工)の供給があり、周辺の相場形成に一定の影響を与えていると考えられます
足立区のマンション価格は今後どう推移するか

ここまでの数字は2025年通年の確定値ですが、この章だけは2026年に入ってからの速報値です。2つの時間軸が混ざっている点にご注意ください。
東日本レインズの月例速報(2026年5月度、6月発表)によると、首都圏の中古マンション成約㎡単価は前年同月比マイナス3.9%の80.78万円/㎡となり、2020年5月から続いていた上昇が73カ月ぶりに止まりました。成約価格も前年同月比マイナス4.6%の5,067万円で、19カ月ぶりの下落です。長く続いた高騰局面に、天井感が出始めています。
東京カンテイの調査(2026年5月度、売り希望価格ベース)でも、都心6区の平均価格が前月比マイナス0.4%の1億8,748万円となり、2カ月ぶりに下落しました。在庫が積み上がり、値下げに動く物件が増えていることが背景です。一方で東京23区全体では前月比プラスが続く月もあり、エリアによって温度差が出てきている段階です。
足立区に固有の動きとしては、次の2点があります。
- 西新井公園周辺地区(梅島3丁目・梅田8丁目、約9.1ha)で、木造住宅密集地域の不燃化を進める地区計画の原案が2025年9月に公表されました。2026年1月に都市計画決定される予定ですが、決定・実施はこれからです
- 北千住駅東口周辺では、複合ビルを含む再開発事業が2026年6月に都市計画決定されました。竣工は2028年度予定で、こちらもまだ計画段階です
いずれも「予定」の段階にある計画です。すでに完成した実績として扱わないよう注意が必要です。
首都圏全体で上昇に一服感が出ている中、足立区はもともとここ数年の上昇率が23区の中で最も小さい区でした。右肩上がりが今後も続くことを前提にするのはリスクがあるでしょう。売却を考えている場合は、直近の相場が下がる前に動くかどうかも含めて、早めに検討しておくのがよいと思います。
マンションを売る・持つ・貸すの判断基準
「売る」「持ち続ける」「貸す」のどれが良いかは、ローンの残債、築年数、今後の使い道によって変わります。足立区のように成約件数が増えている区なら、買い手はつきやすい半面、高値での売却は狙いにくい、という特徴を踏まえておくとよいでしょう。
売る・持つ・貸すの判断基準については、以下の記事で詳しく解説しています。

自分のマンションの価格を調べる手順
ここまでの数字は、あくまで足立区全体の傾向です。自分の物件がいくらになるかは、次の手順で調べるのが確実です。
- 自分の物件がどの地域にあるか確認する:千住・梅田江北新田・足立綾瀬中川・六町花畑大谷田・西新井竹の塚舎人のどこに近いかで、駅からの距離や住戸の傾向が変わります
- 面積・築年数・間取りを整理する:この記事の面積帯別・築年帯別の表と照らし合わせます
- 条件の近い成約事例と比較する:平均値ではなく、自分の物件に近い条件の中央値を見ます
- シミュレーターで目安を出す:区・面積・築年数を入力すると、条件に近い価格帯がその場で分かります
査定額が不動産会社によって違う理由

不動産会社の査定額は、各社が持つ成約事例や、査定を出す時点の在庫状況によって差が出ます。同じ物件でも、会社によって数百万円単位で開きが出ることは珍しくありません。
査定額の検証方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

売却後に手元に残る金額

成約価格がそのまま手元に残るわけではありません。仲介手数料、抵当権抹消費用、譲渡所得税(該当する場合)などを差し引いた金額が、実際に受け取る手取り額です。
マンション売却 手取り額シミュレーター
足立区の中央値である3,400万円で売却したケースを例にすると、仲介手数料(3%+6万円+消費税が目安)だけでも100万円超になります。正確な金額は、ローン残債や取得時期によって変わるため、上記シミュレーターで自分の条件を入力して確認することをおすすめします。
まとめ|足立区では平均ではなく類似事例で判断する

足立区のマンション価格は、次の3点で理解しておくとよいでしょう。
- 2025年の成約価格は中央値3,400万円。ただし平均÷中央値が1.094倍と23区の中でも小さく、平均値もそれほど実態から外れません
- 成約件数は5年で67.9%増え、23区の中で最も伸びています。一方で価格上昇は23区の中で最も小さく、「売れているのに上がらない」区です
- 駅前一択の区ではありません。5つの地域で住戸の性格が違い、駅から離れたエリアにも一定の需要があります
売却を検討している場合は、区全体の平均を見るのではなく、自分の物件と面積・築年数・地域が近い成約事例と比較することをおすすめします。まずはシミュレーターで目安を確認し、必要であれば机上査定で具体的な手取り額まで出してみてください。
上記リンク先では、完全匿名の10秒査定が利用できます。また、売却を検討される場合は、より正確な机上査定をご利用ください。
マンションの場合、机上査定であってもかなり正確な価格を出すことができます。私たちはしつこい営業などはいっさい行いませんので、机上査定の価格をゆっくり吟味した上で、売却するかしないかご検討ください。


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