【要注意】高すぎる不動産査定の罠|専任媒介契約を狙う業者の手口3選

不動産査定が高すぎると感じたら、査定額だけを見て契約するのは危険です。

査定額は、実際に売れる金額を保証するものではありません。不動産会社が専任媒介契約を獲得するために、相場より高い金額を提示している可能性もあります。

そのまま高値で売り出すと、問い合わせが集まらず、売却が長期化することがあります。その後に値下げを求められ、結果として適正価格より安く売却する事態にもなりかねません。

確認すべきなのは、査定額の高さではなく、その根拠です。

宅地建物取引業者には、査定価格の根拠を明らかにする義務があります。売出中の物件価格だけでなく、実際に売買が成立した成約事例が使われているかも確認してください。

この記事では、不動産査定が高すぎる理由と、不動産会社が使う手口、査定書で確認する項目を解説します。

国土交通省の不動産情報ライブラリを使って、自分で相場を調べる方法も紹介します。高額査定に惑わされず、納得できる価格で売却を進めるための判断材料としてお役立てください。

立石秀彦

この記事は「東京マンション売却編集部」が作成し、以下の監修者が内容を確認しています。

立石秀彦

宅地建物取引士/JSHI公認ホームインスペクター アップライト合同会社 代表

雑誌編集者として実業之日本社に勤務後、沖縄で不動産会社(沖縄かりゆし不動産)を約10年経営。現在はアップライト合同会社の代表として、関東・関西・沖縄の不動産会社と連携し、不動産関連データ分析および宅建業を運営。

目次

高すぎる査定額のからくり|専任媒介契約を狙う不動産業者の戦略

相場からかけ離れた高い査定額には、不動産会社があなたと「専任媒介契約」を結ぶための戦略が隠されています。

査定額の高さだけで安易に業者を決めると、売却が長期化し、最終的に損をするリスクがあることを理解しなくてはいけません。

不動産会社の狙いを正しく理解することが、大切な資産を守るための第一歩です。

これから、その具体的な手口を一つひとつ解説していきます。

なぜ相場からかけ離れた査定額が提示されるのか

査定額が相場より不自然に高い一番の理由は、不動産会社が他社との査定競争に勝つためです。

複数の会社から相見積もりを取る売主に対して、最も高い金額を提示した会社が選ばれやすいという心理を巧みに利用しています。

実際に、一括査定サイトを利用する売主の約75%は不動産売買の経験が少ないため、「査定額が高い=販売力がある優良な会社」と判断しがちです。

しかし、査定額はあくまで「3ヶ月程度で売却できると予測される価格」であり、売却価格を保証するものではありません。

売主の心理を利用した「高預かり」の実態

「高預かり」とは、売却の依頼を受けることだけを目的として、意図的に相場よりも高い査定額を提示する行為を指します。

これは、売却を成功させるための戦略ではなく、単に契約を獲得するための営業手口です。

相場からかけ離れた価格で売りに出しても、購入希望者は現れません。

販売期間が3ヶ月から5ヶ月を超えると、物件は市場で「売れ残り」のイメージを持たれてしまいます。

そうなると、業者は「反響がないので価格を下げましょう」と、段階的な値下げを要求してくるのです。

会社の利益を最大化する「両手仲介」という仕組み

「両手仲介」とは、不動産会社が売主と買主の両方から仲介手数料を受け取る取引形態です。

1社の不動産会社に売却を任せる専任媒介契約を結ぶと、不動産会社はこの両手仲介を狙いやすくなります。

売主と買主の双方から手数料を得られれば、会社の利益は単純に2倍になります。

この大きなメリットがあるため、多くの不動産会社は他社に契約を取られないよう、高額な査定額を提示してでも専任媒介契約を獲得しようとします。

物件情報を独占する「囲い込み」のリスク

「囲い込み」とは、両手仲介を成立させるために、他社から紹介された購入希望者の情報を売主に伝えず、意図的に取引の機会を遮断する悪質な行為です。

これは、売主の利益を著しく損なう背信行為といえます。

囲い込みが行われると、より良い条件で購入してくれるかもしれない買主を逃すことになり、売却期間の長期化や売却価格の低下につながります。

2025年1月からは法改正により、売主自身がQRコードでレインズの登録状況を確認できるようになり、囲い込みを監視しやすくなりました。

媒介契約3種類(専任・専属専任・一般)の基礎知識

不動産会社と結ぶ媒介契約には、「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があります。

どの契約を選ぶかによって、不動産会社の義務や売却活動の進め方が大きく変わります。

専任媒介契約と専属専任媒介契約は1社にしか売却を依頼できませんが、不動産会社にはレインズ(不動産業者間の物件情報システム)への登録や売主への定期的な報告が義務付けられます。

一方、一般媒介契約は複数社に依頼できる自由度の高さが特徴ですが、業者側の報告義務などはありません。

それぞれのメリットとデメリットを理解し、自分の状況に合った契約形態を選択することが重要です。

高すぎる不動産査定が招く罠|売却を失敗に導く悪質な手口3選

高すぎる査定額を提示する業者は、一見すると売主の味方に見えますが、その裏には売却を失敗に導く巧妙な罠が隠されています。

特に注意すべきは、あなたと媒介契約を結ぶことだけを目的とした、悪質な手口の存在です。

これから解説する3つの手口は、いずれも売主の大切な資産を危険にさらすものです。

その仕組みを知ることが、騙されないための第一歩となります。

手口1 根拠なく高い査定額で契約を勝ち取る

不動産業界で「高預かり」と呼ばれるこの手口は、相場や過去の成約事例といった客観的な根拠を無視し、意図的に高額な査定を提示して売主の期待を煽り、媒介契約を獲得する手法です。

実際に、一括査定サイトなどを利用する売主の約75%は不動産売却が初めてというデータもあり、多くの人が「一番高い査定額を出してくれた会社が最も良い会社だ」と誤解しやすい心理を巧みに利用します。

しかし、この査定額は「売れる価格」ではありません。

契約を獲得するためだけの見せかけの数字であり、この罠にはまると、売却活動は最初からつまずくことになります。

手口2 契約後に値下げを要求する「干し上げ」

「干し上げ」とは、相場からかけ離れた高い価格で売り出しを開始し、買い手が見つからない状況を意図的に作り出した後、業者側が「問い合わせが全くありません」「このままでは売れません」などと報告し、売主の不安を煽って大幅な値下げを迫る手口を指します。

東京カンテイの2024年の調査では、首都圏の中古マンションで販売期間が10ヶ月を超えた物件のうち22.7%が、当初の価格から20%以上の大幅な値下げを経て成約しています。

高すぎる価格設定は、このような結果を招く典型的なパターンです。

時間が経つほど売主は焦り、最終的には業者の言いなりになってしまいがちです。

その結果、本来売れるはずだった適正価格よりも低い金額で手放すことになりかねません。

手口3 他社からの購入希望者を遮断する「囲い込み」

「囲い込み」とは、自社で買主も見つけて売主と買主の双方から仲介手数料を得る「両手仲介」を狙うために、他の不動産会社からの購入希望者の紹介を意図的に断ったり、物件情報を隠したりする悪質な行為です。

専任媒介契約を結ぶと、業者は指定流通機構(レインズ)に物件情報を登録する義務がありますが、「商談中です」などと嘘の情報を伝え、他社があなたの物件を買い手に紹介できないようにブロックします。

この行為は売主の売却機会を著しく奪うものであり、より良い条件で購入してくれる買い手と出会うチャンスを失わせます。

2025年からは売主がQRコードで登録状況を確認できるようになりましたが、依然として注意が必要な手口です。

騙されないための自衛策|怪しい業者を見抜く3つの確認事項

不動産業者の提案を鵜呑みにせず、提示された査定額の根拠を売主自身が主体的に確認する姿勢が、マンション売却の失敗を防ぎます。

言葉巧みな営業トークに流されず、これから紹介する確認事項を通じて、担当者の説明が客観的な事実に基づいているかを見極めましょう。

これらの質問に誠実に答えられる業者こそ、信頼できるパートナーです。

査定額の算出根拠の明確さ

査定額がどのように算出されたのか、具体的な計算過程や評価項目について不動産会社に説明を求めることが重要です。

宅地建物取引業法では、業者は査定の根拠を示すことが義務付けられています。

不動産流通推進センターが定める「価格査定マニュアル」に基づいて、どの項目を、なぜそのように評価したのかを数字で明確に示してもらう必要があります。

曖昧な返答に終始したり、専門用語を並べるだけで分かりやすい説明ができなかったりする担当者には注意しましょう。

比較対象は「売出事例」でなく「成約事例」か

「売出事例」とは現在売りに出されている物件の価格のことであり、「成約事例」は実際に売買が成立した価格を指します。

東日本不動産流通機構のデータによると、売主の希望が反映されやすい募集価格と、実際の成約価格の間には約27.6%もの乖離が生じています。

本当に価値のある比較対象は、実際に取引された成約事例です。

査定の根拠として、売出中の物件価格ばかりを提示してくる業者は、意図的に査定額を高く見せようとしている可能性があります。

売却が長期化した場合の販売戦略

提示された査定額で万が一売れなかった場合に、どのような次の手を考えているのか、具体的な販売戦略を確認することも大切です。

東京カンテイの調査によれば、販売期間が10ヶ月を超えた物件の22.7%が、最初の価格から20%以上の値下げを行って成約しています。

このような事態を避けるための計画や、市況の変化に応じた提案力があるか、事前に確かめなくてはいけません。

「絶対にこの価格で売れます」と強気なだけで、起こりうるリスクや代替案について語れない担当者との契約は危険です。

査定書で見るべき「流通性比率」の妥当性

「流通性比率」とは、物件の売れやすさ(流動性)を数値化し、査定価格を調整するための項目です。

悪質な業者は、この流通性比率を客観的な根拠なく高く設定し、意図的に査定額を吊り上げる手口を使うことがあります。

例えば、周辺環境や建物の管理状態など、評価項目の一つ一つについて、なぜその比率で調整したのか具体的な理由を質問してください。

調整の根拠が曖昧な査定書は、あなたと契約を結ぶためだけに作られたものである疑いが濃厚です。

2025年からの新ルール QRコードで囲い込みを監視

2025年1月から始まった新ルールにより、売主自身がQRコードを使って、自分の物件の登録状況を直接確認できるようになりました。

この仕組みによって、不動産会社が他社からの購入希望者を意図的に遮断する「囲い込み」が行われていないか、手元のスマートフォンでいつでも監視できます。

媒介契約を結んだ後も安心せず、この仕組みを活用して自分の物件が正しく市場に公開されているか定期的にチェックすることが、大切な資産を守るための最大の自衛策になります。

あなたのマンションの本当の価値を知るための第一歩

不動産会社から提示された高すぎる査定額に、喜びよりも不安を感じているかもしれません。

その直感は、失敗しないマンション売却において非常に重要です。

大切な資産を守るためには、1社の査定額を鵜呑みにせず、客観的なデータに基づいたセカンドオピニオンを得ることが不可欠になります。

ご自身のマンションの本当の価値を把握し、納得のいく売却を実現するために、これから紹介する3つのステップをぜひ実行してください。

なぜセカンドオピニオンが重要なのか

セカンドオピニオンとは、主治医以外の医師に意見を求めることを指しますが、これは不動産売却においても同じです。

最初に査定を依頼した不動産会社の意見だけでなく、別の会社の意見を聞くことで、より客観的に物件の価値を判断できます。

1社の査定額だけでは、その価格が市場の実態を正確に反映しているのか、それとも契約欲しさの営業戦略なのかを見抜けません。

実際に、首都圏の中古マンションの募集価格と成約価格の間には約27.6%もの乖離(70㎡換算で約1,270万円の差)があるというデータもあります。

複数の専門家から査定を受けることで、偏った情報に惑わされず、ご自身のマンションが持つ本当の価値を見極めることが可能になります。

自分で相場を調べる方法「不動産情報ライブラリ」の活用

「不動産情報ライブラリ」とは、国土交通省が提供する、誰でも無料で不動産の取引価格や相場情報を確認できる公的なデータベースです。

専門家でなくても、自宅のパソコンやスマートフォンから簡単に利用できます。

このサイトでご自身のマンションの住所や最寄り駅を入力すると、周辺エリアで過去にどのような物件がいくらで売買されたのかを地図上で確認できます。

特に重要なのは、不動産会社が広告している「売出価格」ではなく、実際に売買が成立した「成約価格」を調べられる点です。

公的なデータを自分の目で確かめることで、不動産会社が提示する査定額の妥当性を判断する強力な材料を手に入れられます。

このツールを活用すれば、査定額が相場から大きく離れていないか、客観的な物差しを持って確認できます。

クラシエステート株式会社が提供するデータに基づく適正価格査定

私たちクラシエステート株式会社は、根拠のない高い査定額で契約を迫ることは決していたしません。

市場の最新データと長年の取引実績に基づき、お客様が納得できる客観的な根拠のある査定価格を提示することをお約束します。

私たちは、レインズ(不動産業者間の物件情報システム)に登録されている直近3ヶ月以内の類似物件の成約事例を最低5件以上分析します。

さらに、地域の人口動態や再開発計画、金利の動向といったマクロな視点も加味して、「3ヶ月以内に売却が見込める最も妥当な価格」を算出します。

もし、お手元にある査定書に少しでも疑問や不安を感じているなら、ぜひ当社の無料査定をセカンドオピニオンとしてご活用ください。

よくある質問(FAQ)

高すぎる査定額を提示してきた不動産会社には、どのように断れば良いですか?

感情的になる必要はなく、「他の不動産会社の意見も参考に、家族と相談して慎重に決めたいと思います」と伝え、冷静に断ることが大切です。

マンション売却で高額査定という罠にはまらないためには、査定額の根拠を具体的に質問し、納得できる説明が得られなかったことを理由にするのも一つの方法です。

毅然とした態度で、契約を急がない姿勢を見せましょう。

査定額と実際に売れる価格は、どれくらい違うものなのですか?

不動産 査定額 成約価格 乖離は、残念ながら珍しくありません。

例えば、東日本不動産流通機構のデータでは、首都圏中古マンションの売り出し価格と実際の成約価格の間に約27.6%もの差が生まれたという報告があります。

これは70㎡の物件で計算すると1,000万円以上の差額になります。

査定額はあくまで売却活動を始めるための目安価格であり、売却を保証する金額ではないと認識してください。

なぜ業者は専任媒介契約を結びたがるのですか?

不動産査定において専任媒介契約が狙いとなる最大の理由は、会社が「両手仲介」を実現しやすくなるためです。

両手仲介とは、売主と買主の双方から仲介手数料を受け取る取引のことで、会社の利益が単純に2倍になります。

この大きな利点があるため、他社より高い査定額を提示してでも、自社1社だけに売却を任せてもらおうとするのです。

媒介契約を結んだ後、「囲い込み」をされているか確認する方法はありますか?

媒介契約における両手仲介を目的とした囲い込みの実態は、外部から見えにくい問題でした。

しかし、現在では売主様ご自身がQRコードを使い、指定流通機構(レインズ)に物件情報が正しく登録・公開されているかスマートフォンで直接確認できます。

定期的にご自身の物件の公開状況をチェックすることが、最も確実な自衛策となります。

査定書をもらったら、どの項目を重点的にチェックすれば良いですか?

査定書の見方で最も重要なのは、「査定価格の根拠」の部分です。

特に、比較対象として挙げられている物件が、現在売り出し中の価格ではなく、実際に取引が成立したレインズの成約事例に基づいているかを確認してください。

また、物件の売れやすさを調整する「流通性比率」などの項目が、客観的な理由なく高く設定されていないかも注意深く見る必要があります。

契約後に値下げを要求されたら、どう対応すればいいですか?

不動産売却の過程で干し上げのような状態になり、値下げ要求をされた場合は、まず冷静に「なぜ値下げが必要なのか」という客観的な根拠データの提示を求めてください。

これまでの具体的な販売活動の報告や、周辺エリアの最新の成約動向など、納得できる説明があるかを確認します。

安易に要求を飲むのではなく、担当者の説明に少しでも疑問を感じたら、契約の見直しや他社への相談も検討しましょう。

まとめ「高すぎる不動産査定に惑わされないための確認ポイント」

不動産査定が高すぎると感じたときは、査定額の高さではなく、その金額を算出した根拠を確認することが大切です。高額査定の背景には、専任媒介契約の獲得を目的とした「高預かり」があり、売却の長期化や契約後の値下げにつながることがあります。

査定書では、売出事例ではなく成約事例が使われているか、流通性比率に客観的な理由があるか、売れなかった場合の販売戦略が用意されているかを確認してください。不動産情報ライブラリや複数社の査定を利用すれば、提示された金額を冷静に比較できます。

高い金額を示す会社が、信頼できる会社とは限りません。大切なのは、市場の現実と査定根拠をわかりやすく説明してくれる担当者を選ぶことです。お手元の査定書に疑問がある場合は、客観的な成約データに基づく無料査定をセカンドオピニオンとしてご活用ください。

マンション無料査定(匿名AI査定あり)

P.S. 媒介契約を結ぶ前であれば、査定額の根拠を比較し、売却方針を落ち着いて見直せます。少しでも不自然に感じる点があれば、その疑問を残したまま契約を急ぐ必要はありません。

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この記事を書いた人

クラシエステート株式会社とアップライト合同会社が運営する「東京マンション売却」の編集部です。データに基づいた分析を、わかりやすい記事にまとめています。

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