ブログ

木造住宅の耐用年数は短い?最新の家なら100年住める理由とは?

マイホーム購入を検討している方の多くが「木造の家は何年もつのだろうか?」と心配されますが、実は木造住宅の寿命は決して短くありません。

結論から申し上げると、現在の建築基準で建てられた木造住宅は、適切なメンテナンスを行えば80年から100年以上住み続けることが可能です。

よく耳にする「22年」という数字は、税金計算のための「法定耐用年数」であり、建物の実際の寿命とは関係がありません。同様に、銀行や不動産会社が使う「20~25年」も市場価値の話であって、家の物理的な寿命を表すものではないのです。

日本には法隆寺の五重塔のように1300年以上現存する木造建築があり、丁寧に手入れされた古民家が築100年を超えても人々の暮らしを支えています。その事実が、木造住宅の本来の耐久性を証明しています。

さらに、2000年以降に建てられた木造住宅は、阪神・淡路大震災の教訓を活かした厳しい建築基準をクリアしており、それ以前の住宅よりもいっそう高い安全性と耐久性を備えています。

国が推進する「長期優良住宅」制度では、構造躯体が75年~90年使用できることを前提とし、適切な維持保全計画に基づいて「100年住める家」の実現を目指しています。

本記事では、混同しがちな4つの「寿命」の概念を整理し、建築基準法の変遷が木造住宅の品質向上にどう影響したかを解説します。また、建売住宅と注文住宅の品質差についても、データに基づいて客観的に分析いたします。

この記事は宅建士資格を保有するアップライト合同会社の立石秀彦が制作しました。

木造住宅の寿命を理解するための4つのものさし

木造住宅の寿命について調べると、「22年」「30年」「65年」など、様々な年数が出てきて混乱してしまうことがあります。

実は、この「寿命」という言葉には、目的や立場によって4つの異なる意味があるのです。

それぞれの意味を正しく理解することで、木造住宅の本当の価値と可能性を知ることができます。

法定耐用年数:税金計算のための「22年」

一般的に「木造住宅の耐用年数は22年」と言われることがありますが、これは「法定耐用年数」のことです。つまり、この22年という数字は、建物が実際に住めなくなる年数を示したものではありません。

法定耐用年数とは、国税庁が税金の計算を公平に行うために定めた、形式的な期間のことです。事業用の建物などは、時間が経つにつれて価値が下がると考えられており、その取得費用を毎年少しずつ経費として計上する「減価償却」という仕組みがあります。法定耐用年数は、この税務計算を統一的に行うための「ものさし」に過ぎません。

具体的な年数は建物の構造と用途によって決められており、木造住宅の場合は以下のようになっています。

住宅用・店舗用22年
事務所用24年
飲食店用20年
旅館用・ホテル用17年

なお、個人が自分で住むための住宅を売却する際の税金計算では、22年×1.5=33年が用いられることもありますが、これも税務上のルールであり、建物の寿命を示すものではありません。

重要なのは、法定耐用年数の22年が過ぎたからといって、家が住めなくなったり、価値が完全になくなったりするわけではないということです。

経済的耐用年数:市場が決める「20〜25年」

「経済的耐用年数」とは、建物が市場において経済的な価値を持つと見なされる期間のことです。物理的にはまだ十分住める状態であっても、デザインの古さや間取りの不便さなどにより、資産としての価値が失われるまでの期間を指します。

多くの金融機関では、木造住宅の担保価値を評価する際、築20年で建物の価値をほぼゼロと見なす慣行があります。これは、築20年を超えると住宅ローン控除などの税制優遇が受けられなくなるケースがあり、買い手の資金調達が困難になると判断されるためです。

同様に、不動産会社も売却査定において、築25年程度で建物価値をゼロとし、土地の価値のみで価格を算出することが一般的です。

税務ルールが市場の現実を作る循環

興味深いのは、もともと建物の寿命とは無関係であるはずの「法定耐用年数22年」が、市場における経済的な価値評価に大きな影響を与えているという点です。

国が設定した「22年」という公式な数字が、木造住宅の価値に関する社会的な基準点となりました。金融機関は融資リスクを評価する際に、この数字を参考にして「20年」を担保評価の目安として採用しました。不動産会社は、築20年を超える物件は買い手が住宅ローンを組みにくいことを知っているため、建物の査定価格を低く設定せざるを得ませんでした。

この一連の流れが「木造住宅の価値は20年ほどでなくなる」という市場の認識を強化し、建物が物理的には何の問題もなくても、市場での経済的な寿命は20〜25年という短い期間で尽きてしまうという状況を生み出しています。

ただし、最近ではこうした慣行を見直そうという動きも見られるようになってきました。

物理的耐用年数:メンテナンス次第で決まる「本当の寿命」

「物理的耐用年数」は、建物そのものが構造的に安全な状態を保ち、実際に使用に耐えうる期間のことです。これこそが建物の「本当の寿命」であり、その長さは決して固定されたものではありません。

木造住宅の物理的な寿命は、設計、施工品質、そして何よりも竣工後の維持管理(メンテナンス)によって大きく変わります。適切なメンテナンスを怠れば、雨漏りやシロアリ被害により構造材が劣化し、30年程度で寿命を迎えてしまうこともあります。

しかし、計画的なメンテナンスを継続的に行うことで、その寿命を80年から100年、あるいはそれ以上に延ばすことが可能です。木材という素材は、適切に管理されれば驚くほどの耐久性を発揮します。例えば、ヒノキは伐採後200年かけて強度が上昇し、その後1000年かけて元の強度に戻るという研究報告もあり、日本の歴史的木造建築がその耐久性を実証しています。

長寿命化の鍵は「水」と「シロアリ」対策

木造住宅の劣化の二大要因は、腐朽菌の発生原因となる「水分」と、「シロアリ」による食害です。物理的な寿命を延ばすためのメンテナンスは、この二つの要因から構造躯体を守ることに集約されます。

具体的には、以下のような対策が重要です。

屋根・外壁の定期的な点検と補修:雨水の浸入を防ぐため、屋根材のひび割れや外壁のシーリングの劣化などを定期的にチェックし、必要に応じて補修や再塗装を行うこと。

床下の湿気対策:地面からの湿気を防ぎ、床下の換気を良好に保つことで、土台や柱の腐朽を防ぐこと。

防蟻処理:定期的な防蟻処理(一般的には5年ごと)を行い、シロアリの被害を未然に防ぐこと。

このように、物理的耐用年数はあらかじめ決まっているものではなく、所有者の意識と行動によって大きく変えることができるのです。

4. 平均寿命:統計データが示す日本の住宅の実態

個々の建物の物理的な可能性とは別に、日本全体の住宅が平均してどのくらいの期間で取り壊されているのかを示す「平均寿命」という統計的な指標があります。この指標には主に2種類の異なる算出方法があるため、混同しないよう注意が必要です。

滅失住宅の平均築後年数(約32年)

この方法は、その年に取り壊された住宅の築年数を平均したものです。国土交通省のデータによると、この数値は約30年〜32年とされており、アメリカの約55年〜66年やイギリスの約77年〜80年と比較して著しく短いことから、「日本の住宅は短命だ」という主張の根拠として引用されてきました。

しかし、この数値は住宅の物理的な耐久性そのものを表しているわけではありません。ここには、日本の特殊な社会経済的背景が色濃く反映されています。

戦後の住宅不足を解消するため、耐久性よりも供給量を優先した住宅が大量に建設されました。また、高度経済成長期以降、「新築こそが最良」という価値観が定着し、まだ使える住宅でも経済的な理由やライフスタイルの変化によって取り壊される「スクラップ&ビルド」が主流でした。さらに、取り壊しの理由は建物の老朽化だけではなく、相続税対策や土地の再開発など、経済的な判断で解体されるケースも多く含まれています。

したがって、「滅失住宅の平均築後年数」は、過去の日本の社会が住宅をどのように扱ってきたかを示す「文化的な寿命」とも言える指標であり、現代の高品質な住宅の寿命を正しく表すものではないのです。

区間残存率推計法(約65年)

こちらはより学術的な推計方法で、早稲田大学の小松幸夫名誉教授らの研究で知られています。ある年に建てられた住宅群が、その後何年経過した時点でどのくらいの割合で現存しているかを追跡し、残存率が50%になる年数を平均寿命と定義します。

この手法による2011年の調査では、日本の木造住宅の平均寿命は65.03年と推計されています。さらに、この数値は1997年調査の43.53年、2006年調査の54.00年から着実に延びており、住宅の長寿命化が進んでいることを示しています。

「約65年説」の方が実態に近い

「約32年」という数値は、過去の建て替え文化を反映した実績値です。一方、「約65年」という数値は、空き家なども含めた住宅ストック全体の動態から導き出された、より実態に近い潜在的な寿命を示しています。

これから住宅を購入または建築する方にとっては、過去の慣習よりも、現代の技術で建てられた住宅が実際にどのくらいの期間存続しうるかを示す後者の数値の方が、はるかに重要な参考情報と言えるでしょう。

指標名年数の目安根拠・目的重要なポイント
法定耐用年数22年(業務用)税法上の減価償却計算建物の物理的な寿命とは無関係
経済的耐用年数20〜25年金融機関の担保評価、不動産査定実際の寿命より早く市場価値がゼロと見なされる傾向
物理的耐用年数30〜100年以上構造体の物理的な耐久性適切な維持管理が寿命を大きく左右する
平均寿命(統計)約32年(滅失住宅)
約65年(区間残存率)
統計的分析過去の建て替え文化を反映/現在の住宅の潜在寿命を反映

建築基準法の進化が生んだ木造住宅の品質向上

時代区分建築時期耐震目標木造住宅の主な特徴
旧耐震基準〜1981年5月31日震度5強程度の揺れで倒壊しない壁量規定のみ
新耐震基準1981年6月1日〜2000年5月31日震度6強〜7の揺れで倒壊しない壁量規定が強化
2000年基準2000年6月1日〜新耐震基準に加え、倒壊を防ぐ仕様を具体化地盤調査の義務化、接合部の金物規定、耐力壁のバランス計算の導入

木造住宅の寿命や安全性は一律ではありません。いつ建てられたかによって、住宅の平均的な品質が大きく異なります。これは、大規模な地震が発生するたびに、その教訓を反映して建築基準法が改正され、住宅に求められる性能が段階的に引き上げられてきたからです。

1981年5月以前:「旧耐震基準」の時代

1981年5月31日までに建築確認申請が行われた建物は、「旧耐震基準」と呼ばれる基準で設計されています。この基準は、震度5強程度の揺れに対して建物が倒壊・崩壊しないことを目標としていましたが、震度6強以上の大地震については明確な規定がありませんでした。

1995年の阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた木造家屋の多くは、この旧耐震基準で建てられたものでした。現在、国や自治体はこれらの建物を耐震性が不十分な「既存不適格建築物」と位置づけ、耐震診断や改修を促進する施策を講じています。

1981年6月〜2000年5月:「新耐震基準」の導入

1981年6月1日に施行された建築基準法施行令の改正により、「新耐震基準」が導入されました。これは日本の耐震設計における画期的な転換点で、不動産の世界では「1981年6月1日」が建物の安全性を判断する上で極めて重要な日付となっています。

新耐震基準は、「大地震(震度6強〜7程度)でも倒壊・崩壊しない(人命を守る)」ことを明確な目標として掲げ、建物の安全性が大幅に向上しました。木造住宅においては、耐力壁の量を定めた「壁量規定」が強化されました。

しかし、1995年の阪神・淡路大震災では、この新耐震基準で建てられた木造住宅の中にも、倒壊・全壊するものが少なからず見られ、まだ構造的な弱点が残されていることが明らかになりました。

2000年6月以降:「2000年基準」による木造住宅の強化

阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、木造住宅の安全性をさらに高めるため、2000年6月1日に改正建築基準法が施行されました。これは「2000年基準」と呼ばれ、現在の木造住宅の品質の礎となる極めて重要な改正です。

地盤調査の事実上の義務化 地盤の強さに応じた基礎の仕様が定められ、建設前に地盤調査を行うことが事実上必須となりました。

接合部の仕様の明確化 柱と土台、柱と梁などを緊結するホールダウン金物などの使用が具体的に規定され、地震の揺れに対して建物が一体となって抵抗する能力が飛躍的に向上しました。

耐力壁のバランス計算の導入 耐力壁を建物全体でバランス良く配置することを検証する計算が求められるようになり、地震時のねじれによる倒壊を防げるようになりました。

「新耐震」と「2000年基準」の重要な違い

消費者や不動産業者の中には、1981年6月以降の建物をすべて「新耐震基準」として一括りにしてしまう人がいますが、これは大きな誤りです。1995年に建てられた住宅と2005年に建てられた住宅では、構造的な信頼性に大きな差があります。

ある調査では、2000年5月以前に建てられた新耐震基準の木造住宅の約8割が、現行の基準に照らすと十分な耐震性を備えていない可能性が指摘されています。住宅を選ぶ際には、「新耐震基準を満たしているか」だけでなく、「2000年基準以降に建てられているか」を確認することが、真の安全性を判断する事につながります。

100年住宅への道:長期優良住宅制度

日本の住宅政策は、かつての「建てては壊す(スクラップ&ビルド)」時代から、「良いものをつくって、きちんと手入れして、長く大切に使う」というストック型社会への転換を目指しています。この大きな方針転換の中核をなすのが、「長期優良住宅」の認定制度です。

長期優良住宅認定制度とは

長期優良住宅認定制度は、2009年に開始された制度で、耐久性、耐震性、維持管理の容易性、省エネルギー性などに優れた質の高い住宅を国が認定し、その普及を促進することを目的としています。認定を受けることで、住宅ローン減税や固定資産税の軽減など、様々な税制上の優遇措置を受けることができます。

認定を受けるためには、以下の厳しい基準をクリアする必要があります。

劣化対策(等級3) 構造躯体が数世代(75年〜90年程度)にわたり使用できることを目指します。床下の高さを確保して点検しやすくすることや、小屋裏に点検口を設けること、腐朽やシロアリの被害を防ぐための措置などが含まれます。

耐震性(等級2以上) 建築基準法が定める最低限の耐震性能を上回る性能が求められます。具体的には、数百年に一度発生する大地震の1.25倍の力に耐えられる「耐震等級2」以上が必要です。

維持管理・更新の容易性(等級3) 構造躯体に比べて寿命が短い給排水管やガス管などの設備配管について、点検や清掃、補修、交換が容易に行えるように設計されていることが求められます。

省エネルギー性(等級5以上) 2022年10月以降の基準では、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)水準の省エネ性能が必要とされています。

これらの基準は、単に頑丈で快適なだけでなく、「長期間にわたってその価値を維持しやすい家」を造るための設計思想そのものを示しています。

維持保全計画:家の寿命を延ばす「カルテ」

長期優良住宅制度が画期的である理由は、高い初期性能を求めるだけでなく、その性能を将来にわたって維持するための仕組みを制度に組み込んでいる点にあります。その中核となるのが「維持保全計画」の策定義務です。

長期優良住宅の認定を受けるためには、建築時に将来のメンテナンス計画である「維持保全計画」を作成することが法律で義務付けられています。この計画には、構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分、給排水設備などについて、どの部位を、いつ頃、どのように点検・補修するかが具体的に記載されています。

認定を受けた住宅の所有者は、この計画に従って適切に維持保全を行い、その記録(点検や修繕の履歴)を作成・保存する責務を負います。この記録は、いわば住宅の「健康診断記録(カルテ)」であり、住宅の資産価値を客観的に証明する重要な書類となります。

この制度は、日本の住宅文化における大きなパラダイムシフトとなりました。これまでは、家のメンテナンスは所有者の自己責任に委ねられ、記録も残らないことがほとんどでした。その結果、中古住宅の品質が不明確になり、市場での評価が低くなる一因となっていました。

長期優良住宅制度は、計画的な維持保全を所有者の責務とし、その履歴を可視化することで、住宅を「消費財」から「世代を超えて受け継がれる資産」へと転換させることを目指しています。この維持保全計画こそが、「100年住宅」という理想を現実のものにするための、最も重要な実践ツールと言えるでしょう。

建売住宅と注文住宅:品質と寿命に違いはあるか?

木造住宅を手に入れる方法には、大きく分けて2つの選択肢があります。土地と建物がセットで販売される「建売住宅」と、土地探しから設計まで自由に行う「注文住宅」です。

どちらの方法で建てられた家も、建築基準法という同じ法律の最低基準をクリアしなければなりません。しかし、実際の市場を見てみると、それぞれのビジネスのやり方の違いから、品質や木造住宅の寿命に対する考え方に一定の傾向があることがわかります。

データで見る品質への意識差

最近の住宅市場では、顧客の品質に対する関心が高まっており、それを客観的に示す制度の利用が広がっています。

長期優良住宅がどれくらい建てられているか

国土交通省の発表によると、新築の戸建て住宅全体のうち、約4割が長期優良住宅の認定を受けており、5年連続で過去最高を更新しています。これは、住宅市場全体で高品質な住宅へのシフトが進んでいることを表しています。

一方で、大手ハウスメーカーで建てられた注文住宅に限ると、その認定率は84.3%に達するという調査結果もあります。これは、注文住宅の分野では長期優良住宅が当たり前の基準になっていることを示しています。

住宅の性能を見える化する取り組み

住宅の性能を10の分野で等級表示する「住宅性能表示制度」の利用も増えています。令和6年度(2024年度)には、新築住宅の34.2%が設計段階での性能評価書の交付を受けており、これは過去最高の割合です。

これは、ユーザーが目に見えない住宅の性能を客観的な「ものさし」で評価し、比較検討することが一般的になってきていることを表しています。

特に注文住宅の市場では、法律で定められた基準を上回る高い性能を求める傾向が高いといえます。

なぜ違いが生まれるのか:ビジネスモデルと購入者の関与

建売住宅と注文住宅で品質への取り組み方に違いが生まれる背景には、それぞれのビジネスの仕組みと、購入者が家づくりのプロセスにどの程度関わるかの違いがあります。

建売住宅は、事業者が土地を購入し、決められた仕様の住宅を建設して、完成品として販売するモデルです。主な顧客は、比較的お手頃な価格で、すぐに入居できる家を求める方々です。

ユーザーの意識も変わりつつあることから、飯田産業グループホールディングスなどでは、大多数の物件で長期優良住宅の認定を受けています。ZEHレベルの住宅も多く、建物の性能をあげつつ、規格化することでコストダウンをはかる傾向があります。

注文住宅は、住宅を建てる人(施主)が建築会社と契約し、ゼロから設計プランを考えていくモデルです。施主は家づくりの最初の段階から深く関わり、自分のライフスタイルや価値観に合わせて、間取り、デザイン、建材、設備、そして住宅性能などを細かく決定していきます。

多くの場合、施主は初期費用が高くなったとしても、地震に強い構造や冬暖かい断熱性能、長期的なメンテナンスのしやすさといった付加価値を重視する傾向があります。建築会社も、こうした施主の個別の要望に応えることがビジネスの中心となります。

この違いは、どちらが良い悪いという単純な問題ではありません。建売住宅は、効率的な建築によって多くの人々に手の届きやすい価格で住宅を提供するという大切な社会的な役割を担っています。一方、注文住宅は、施主のこだわりや高い性能への要求を実現する役割を担っています。

購入者が確認すべきポイント

建売住宅か注文住宅かにかかわらず、木造住宅の品質と将来の資産価値を見極めるためには、購入者が積極的に情報を確認することが欠かせません。

建売住宅を購入する場合のチェックポイント

内装の美しさやデザインの好みだけでなく、その住宅の性能を客観的に証明する書類があるかどうかを必ず確認しましょう。

具体的には、「長期優良住宅認定通知書」や「住宅性能評価書」の提示を求めることが重要です。これらの書類があれば、その住宅が法律で定められた基準を上回る性能を持つことが保証されます。

もしこれらの書類がない場合は、建築基準法で定められた最低限の性能は満たしているものの、それ以上の付加価値は期待できないかもしれません。

あわせて読みたい

注文住宅を建てる場合のチェックポイント

設計の打ち合わせ段階で、早い時期から「長期優良住宅の認定取得」を必須要件として建築会社に伝えましょう。さらに、「耐震等級3(最高レベルの地震への強さ)」や「断熱等性能等級5(高い省エネルギー性能)」など、希望する具体的な性能等級を指定することが大切です。

現在、多くの大手ハウスメーカーでは長期優良住宅を標準仕様としていますが、契約前にその内容をしっかりと確認し、最終的な引き渡し書類の中に「維持保全計画書(長期的なメンテナンス計画)」が含まれていることを確かめることが、将来にわたる資産価値を守る上で欠かせません。

建売住宅であっても注文住宅であっても、適切な知識を持って選択し、継続的なメンテナンスを行うことで、木造住宅の寿命を大きく延ばすことができるのです。

まとめ:木造住宅の寿命は決して短くはない

木造住宅の寿命は「建てられた時代の基準」と「これからの手入れ」によって大きく変わります。この記事を通じて見えてきたのは、単純な年数では測ることはできず、複数の視点から考える必要があるということでした。

まず、「法定耐用年数22年」という数字は、あくまで税金計算のために使われる基準にすぎません。家そのものの実際の寿命を表すものではないため、この数値だけで判断してしまうのは危険です。

また、住宅の品質は「いつ建てられたか」によって左右されます。たとえば、1981年の新耐震基準や2000年の木造住宅基準の強化は、住宅の安全性と耐久性を大きく向上させました。中古住宅を選ぶ際には、築年数よりも「どの時代の基準で建てられているか」を確認することが大切です。

さらに、現代の高品質住宅は「長期優良住宅」制度が目安になります。この制度は、100年先を見据えた耐久性と維持管理を前提としており、単なる住まいを「世代を超えて価値を持つ資産」へと変える仕組みです。

結局のところ、木造住宅の寿命を決めるのは二つの要素です。一つは、建てられた「過去の基準」。もう一つは、所有者がこれから行う「未来の手入れ」。この両方が合わさることで、家は長く価値を持ち続けます。

つまり木造住宅は決して短命ではないものの、個々の住宅の寿命を想定するには、複雑な要因がからむということです。

クラシエステート株式会社では、初めて住宅を購入する世代に寄りそい、現場でその建物のコンディションを判断するお手伝いを行っています。

建設業界出身の溝口社長が対応します。安心してお問い合わせください。

-ブログ