ブログ

フラット35の子育て支援策「子育てプラス」で金利を最大▲1%ダウンする方法

2024年にスタートしたフラット35子育て支援型は、18歳未満の子どもの人数に応じて一定期間借り入れ金利が引き下げられる仕組みです。

このフラット35子育て支援型は現在かなり注目されていますが、その理由は、金利の引き下げ効果が大きいこと、最大で、当初5年間金利を▲1%引き下げることが可能になります(子育てプラスとフラット35Sなどの組み合わせも可能)。

後で詳しく解説しますが、筆者の試算では3000万円を35年返済で借り入れた場合、月々の支払い額に14,000円もの差がつくことがあります

またフラット35には子育て世帯や40歳未満の若い夫婦世帯(若年夫婦世帯)についての様々な金利引き下げメニューがありますし、市町村が用意している住宅ローン補助制度等との併用も可能です。

この記事では子育て世帯向けのものを中心に、フラット35の金利引き下げメニューを詳しく解説していきます。ぜひ参考にして、おトクに住宅ローンを借りてください。

この記事は宅建士資格を保有するアップライト合同会社の立石秀彦が制作しました。

どれだけトクする?子育てプラスの効果をシミュレーション

一例として40歳未満夫婦で子供が1人フラット35Sの対象となるZEH認定住宅を購入した場合を想定して、どれぐらいの金利優遇が受けられるのかを計算してみましょう。

  • フラット35育てプラスで1ポイント
  • フラット35 S( Z E H)で3ポイント
  • フラット35維持保全型で1ポイント

この例では合計5ポイントの金利引き下げを受けることができます。1ポイントは▲0.25%なので、合計すると1.25ポイントとなりますが、金利引き下げは最大で▲1%までなので、当初5年間の金利が▲1%引き下げられるということになります。

仮に借り入れ額3000万円で35年償還、金利が1.85%だったとすると、次のような計算になります。

金利引き下げがなかった場合の月々返済額108,649円
金利引き下げを受けた場合の月々返済額94,438円

差額は実に14,211円。年間で約170万円ですから、家計にはかなり大きなインパクトがあります。

さらに当初5年間で使えなかった1ポイントが残るため、6年から10年目の間は▲0.25%の金利引き下げを受けることができます。

このように夫婦どちらかが40歳未満の若年世帯や子育て世帯にとってフラット35の金利引き下げメニューはかなり大きな効果があります。

あわせて利用したい「フラット35S」とは?

上記の計算例でフラット35子育てプラスと併用しているフラット35Sとは、一定の省エネルギー性能を備えた住宅や耐震性を確保した住宅の普及を支援し、一定期間借入金利が引き下げられる制度です。

ちなみに、高齢者が生活しやすい住宅や長期優良住宅など耐久性のある住宅もフラット35Sの対象となります。こういった点は住宅ローンアドバイザーや金融機関の担当者に尋ねてみると、詳しく教えてくれます。

あわせて利用したい「フラット35維持保全型」とは?

質の高い住宅の中でも、維持管理も含めて有利な住宅として認定された長期優良住宅や、地方公共団体から長期修繕計画等について管理計画認定を受けたマンション等についてはフラット35S維持保全型の対象となる場合があります。対象になると、一定の金利引き下げを受けることができます。

フラット35子育てプラスは中古住宅でも利用可能

フラット35、子育てプラスは新築戸建て住宅や新築マンションのほか、中古住宅の場合でも利用することができます。また中古住宅をリノベーションして購入する場合も利用が可能です。

ただし、中古住宅の場合、他のフラット35の金利引き下げと併用することができない場合もあるので、この点については、住宅ローンアドバイザーや金融機関の担当者に詳しくヒアリングするようにしてください

改めて知る「フラット35とは?」

フラット35は、住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利型の住宅ローンです。 借り入れから返済終了まで金利や返済額が確定しているため、返済計画が立てやすいメリットがあります。

一方デメリットは全期間固定金利である分、変動金利型の住宅ローンに比べて金利が高いことです。

そこでフラット35を利用する場合は、この記事で主に紹介しているフラット35子育て支援型のほか、その他の金利引き下げメニューを活用することがポイントになります。

様々な金利引き下げメニューをうまく活用すると当初5年間の金利を1%引き下げることができるため、その間の返済額は変動金利型のローンに近い水準になる場合もあります。

フラット35の仕組みと「買取型」と「保証型」の違い

住宅ローンを借り入れる立場で細かく覚えておく必要まではありませんが、フラット35の仕組みを理解しておくと安心して利用できるでしょう。

フラット35では住宅ローンの証券化スキームを活用し、住宅金融支援機構と提携している民間金融機関が、実際の住宅ローンを提供する形になります。

またこのフラット35には買取型と保証型があります。

買取型の場合は民間の金融機関が融資した住宅ローン債権を、住宅金融支援機構が買い取る形を取ります。住宅市場で利用されているフラット35のほとんどがこの買取型というタイプで、商品内容はほとんどの金融機関でおおむね一定しているという特徴があります。

ただし、金利や手数料等は金融機関ごとに若干異なってきます

一方の保証型の場合は、民間の金融機関が融資を行い、住宅ローン債権はその融資を行った金融機関が保持する形を取ります。そして万が一返済が滞った場合に、住宅金融支援機構がそのローンを保証する形を取ります。

保証型は少数派ですが、金融機関が独自に金利や手数料等の内容を設計でき、独自性のある商品を打ち出すことができるのが特徴です。

フラット35の利用条件と注意点

フラット35では、借り入れをする利用者の条件に加えて、建物の条件があり、独自に住宅の規模や省エネ性、耐久性などの技術基準を定めています。

この建物の基準が意外と厳しい点がフラット35の特徴です。 ここではフラット35を利用するための利用者の条件と建物の条件を、それぞれ見ていきます。

フラット35の融資を受けるための利用者の条件

フラット35の主な借り入れ基準としては、申し込み時の年齢が満70歳未満であり、日本国籍または永住許可、特別永住許可を受けていることが条件となります。

返済負担率に関する条件がはっきりしているのもフラット35の特徴です。 住宅ローンだけではなく、自動車ローンや教育ローンなど、その他のローンも含めたすべての借り入れの年間合計返済額の割合(総返済負担率)が、次の基準を満たしている場合に融資対象となります。

年収400万円未満400万円以上
基準返済負担率30%以下返済負担率35%以下

また、保証人や保証料は不要で、月々の返済に団体信用保険の保険料が含まれています。

フラット35の融資を受けるための建物の条件

建物には床面積の下限があります(下の表)。また、上限はありません。

一戸建て住宅部分の床面積70㎡以上
マンション等専有面積30㎡以上

その他にも、建物の耐久性等については、住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合していることが条件となります。

一戸建て住宅の場合は、竣工時に建築基準法に定める検査済証が交付される住宅であること、またマンション等の共同住宅の場合は住宅金融支援機構が定める維持管理基準に適合する住宅であることが条件になります。

なお敷地の面積については条件はありません。

フラット35の融資を受けるためのその他の条件

フラット35の融資を受けるためには、借り入れから完済までの間火災保険をつけること、また借り入れ対象となる住宅及びその敷地に住宅金融支援機構を第一順位とする抵当権を設定すること等が条件となります。

また完済時の年齢が80歳という条件もあり、例えば50歳で借り入れをした場合は35年ローンを組むことができません。80歳になるまでの、30年ローンが最長ということになります。

フラット35子育てプラスを徹底解剖

フラット35子育てプラスは子育て世帯の住宅ローン負担を軽減するために設計された、これまでにない規模の支援策となっています。

この制度の特徴は、ポイント制を利用し、世帯の状況を反映した金利引き下げ幅が決定される点にあります。

実はフラット35子育てプラスの対象には、子どもがいる世帯に加えて、夫婦いずれかが40歳未満である若年夫婦世帯も含まれています。この点について詳しく見ていきましょう。

まず子育て世帯は、借入申し込み年度の4月1日時点で18歳未満の子どもがいる世帯が対象。ここでいう「子ども」の定義は意外と幅広く、実子や養子だけではなく、まだお腹にいる胎児や同居している孫も対象に含まれます。

もう一つは子どもがいなくても、夫婦いずれかが40歳未満である若年夫婦世帯。こちらもかなり幅広く柔軟に対応しており、法律婚だけではなく、同性パートナーや事実婚であっても対象となります。これにはまだ子どもがいない世帯、若い世帯であっても早期に住宅を取得して安定した生活基盤を築くことを後押しするという、政策的意図が反映されています。

フラット35のポイント制度を詳しく解説

フラット35のポイント制度では、1ポイントあたり当初5年間の金利が▲0.25%引き下げられます。また最大の金利引き下げ幅は4ポイントに相当する年▲1.0%となります。

例えば合計5ポイントを獲得した場合、余った1ポイント分は当初5年間の金利引き下げ期間が終わった後、6年目から10年目の金利引き下げに適用されることになります。 そのため、子どもが多い世帯はより長期間、金利引き下げの恩恵を受けることができるように設計されています。

世帯状況付与ポイント当初5年間の金利引下げ幅6年目~10年目
若年夫婦世帯 または 子ども1人1ポイント年▲0.25%なし
子ども2人2ポイント年▲0.50%なし
子ども3人3ポイント年▲0.75%なし
子ども4人4ポイント年▲1.00%なし
子ども5人5ポイント年▲1.00%年▲0.25%
(出典:住宅金融支援機構の資料等に基づき作成)

フラット35子育てプラス利用上の注意点

ここまで見てきたようにフラット35子育てプラスは非常に魅力的な制度なのですが、利用を検討する前に知っておきたい重要な注意点があります。

予算上限がある

フラット35子育てプラスには国の補正予算が充てられているため、予算金額に上限があります。

予算が上限に達する見込みとなった場合には受付が終了となります。また受付終了日は終了の約3週間前に住宅金融支援機構の公式サイトで告知されるため、この点は必ずチェックしておいてください。

借り換えなどでは利用できない

この制度は新規の住宅取得を支援する目的で設立されているため、既存の住宅ローンの借り換えには適用されません。また、土砂災害特別計画区域内の物件にも適用することができない等の制限もあります。

フラット35Sと併用する場合のポイント

既に述べた通り、フラット35子育てプラスはフラット35Sなどと併用することができます。

クラシエステートで紹介している飯田産業グループなどの建売住宅では、フラット35Sに対応した省エネ水準を満たす住宅が多く供給されています。物件選びの際には、こういった点も確認しておきましょう。

また、フラット35Sには住宅の性能レベルに応じて複数のプランがありますので、まずそれぞれのポイントを確認しておきましょう。

  • フラット35S(ZEH):省エネ性能がZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)水準。3ポイントが付与され、当初5年間の金利を年▲0.75%引き下げます。
  • フラット35S(金利Aプラン):長期優良住宅など、非常に高い性能を持つ住宅。2ポイントが付与され、当初10年間の金利を年▲0.5%引き下げます。
  • フラット35S(金利Bプラン):省エネ対策等級4など、優れた性能を持つ住宅。1ポイントが付与され、当初5年間の金利を年▲0.25%引き下げます。

(注:ポイント数は住宅金融支援機構のポイント制度に基づき整理。金利引下げ幅・期間は各プラン単独の場合)

フラット35Sのポイントはフラット35子育て支援型のポイントと合算し、その合計ポイントに応じて金利引き下げの適用を受けることができます。

世帯状況取得住宅子育てプラス ポイントフラット35S ポイント合計 ポイント当初5年間 金利引下げ6~10年目 金利引下げ
子ども1人フラット35S (ZEH)134年▲1.00%なし
子ども2人標準住宅202年▲0.50%なし
子ども2人フラット35S (金利B)213年▲0.75%なし
子ども2人フラット35S (金利A)224年▲1.00%なし
子ども2人フラット35S (ZEH)235年▲1.00%年▲0.25%
子ども3人フラット35S (ZEH)336年▲1.00%年▲0.5%
出所:住宅金融支援機構のポイント制度に基づき作成

フラット35地域連携型で自治体独自の支援を利用する

フラット35地域連携型は、子育て支援やUターン移住促進などに積極的な地方公共団体(都道府県や市区町村)が住宅金融支援機構と連携し、独自の補助金制度とセットでフラット35の金利をさらに引き下げる制度です。

地域連携型利用のためにやっておきたい事

この制度を利用するには、住宅ローン契約の前に、お住まいの市区町村の窓口で「フラット35地域連携型利用対象証明書」を申請し、交付を受ける必要があります。この証明書を金融機関に提出することで、金利引下げが適用されます。

連携している自治体の探し方と具体例

連携している自治体は、住宅金融支援機構の公式サイトで都道府県別に検索できます。支援内容は自治体によって大きく異なるため、必ず居住予定地の情報を確認しておいてください。

自治体名金利引き下げ例
東京都港区区の「子育て世帯等住宅取得支援事業補助金」と連携し、当初5年間 年0.5%引き下げ。他のメニューと併用で最大年1.0%の引き下げも可能。
東京都多摩市マイホーム取得者に対する財政支援として、当初5年間の借入金利を年0.5%引き下げ。主に「三世代近居・同居促進助成金交付制度」との連携。
山形県県の補助金と連携し、子育て支援に該当する場合は当初5年間年0.5%引き下げ、地域活性化(移住など)に該当する場合は当初5年間年0.25%引き下げ。
熊本県玉東町町外から玉東町に転入し、定住促進住宅用地にマイホームを新築もしくは購入される場合、フラット35の金利引き下げが利用可能。

こういった制度を最大限利用するためには、ローンを組む前の「事前計画」段階がとても重要になってきます。住宅の性能(ZEH等)や建設地(地域連携型を実施している自治体か)といった、後から変更できない要素によって、利用できる優遇制度が決まってくるからです。

そのため、住宅探しの初期段階、あるいは建築会社を選定する段階で、これらの公的支援制度をリサーチし、計画に組み込む「フロントローディング(前倒し計画)」が成功の鍵を握ります。

まとめ「フラット35子育てプラスはぜひ利用したい制度」

フラット35子育てプラスは、子どもの人数や若年夫婦の条件に応じて最大年▲1.0%の金利優遇が受けられる制度です。

住宅金融支援機構の資料や関連情報によると、金利引き下げ幅が1.0%の場合、総返済額が約253万円、0.5%の場合と比較しても約126万円少なくなるという試算があります(注)。

「固定金利で安心して借り入れたいけれど、毎月の支払いが膨らむのは不安…」

子育て世帯としては、後々かかってくる教育費と住宅ローンの両立に悩んでしまうもの。そんな方ほど、この制度の恩恵を受けるチャンスがあります。

子育てプラスはポイント制により、子ども1人で▲0.25%、4人なら上限の▲1.0%まで優遇。さらにZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)などのフラット35Sと組み合わせれば、6〜10年目も金利引き下げが続く仕組みです。

加えて自治体連携型を利用すれば、補助金と併用して実質金利をさらに抑えられます。

「わが家なら何パーセントの金利引き下げが可能?」と気になったら、クラシエステートまでお問い合わせください。

クラシエステートでは、数多くの建売新築一戸建て物件を取り扱った経験から、フラット35Sが使える優良物件もリストアップ可能。また、住宅ローン選びから自治体制度の申請まで、納得のマイホー

注…借入額4000万円、返済期間35年、元利均等返済・ボーナス払いナシ、金利年1.82%で試算。

-ブログ