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【後悔しない】新築未入居物件のデメリット3選!プロが教える注意点と賢い選び方

2025年8月20日

新築から売れずに1年経ってしまった分譲住宅を「未入居物件」と呼びます。法律でも、そう決まっています。

この新築未入居物件は「新築同様なのに割安!」という魅力がある反面、「なぜ売れ残った?」という疑問や、実は新築とは違う「デメリット」がある点に注意が必要です。

この記事では以下のようなデメリットを詳しく解説し、それでも「新築未入居物件がお得」というケースも紹介します。

  • 新築住宅と保証内容が異なる場合がある
  • 住宅ローン減税が少し短くなる
  • 人気がない「理由」がどこかにあるかも

筆者が考える、かなり重大なデメリットはこの3つ。他にもデメリットがあり、検討しておきたい項目はけっこうたくさんあります。

しかし、デメリットを考慮しても「これは買いだ」といえる新築未入居物件があるのも事実。この記事の最終目標は「それでも買うべき新築未入居物件の探し方」の解説です。

では、お得に買える未入居物件をデータや公的資料から考えていきましょう。

この記事は宅建士資格を保有するアップライト合同会社の立石秀彦が制作しました。

そもそも「新築未入居物件」とは?中古物件との違い

「新築未入居物件」は、まだ誰も住んだことがないきれいな家なのですが、建築から1年経過したもののことを指します。

つまり、建売住宅が1年売れ残ったら「新築未入居物件」となり、中古扱いになります。

不動産の法律では「新築」と「中古」が明確に区別されており、その違いを知ることが未入居物件の理解につながります。

法律上の「新築」と「中古」の違い

不動産の世界では、家の状態を次の図のように「時間」と「入居の有無」で判断します。

見ての通り、たとえ誰も住んでいなくても、建物が完成してから1年を過ぎると、法律上は「中古物件」と同じ扱いになります。これが「新築未入居物件」というわけです。

この「1年で新築ではなくなる」というルールは、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)など、いくつかの法令で定められています。

ここで新築、新築未入居物件、中古物件の違いを整理すると以下のようになります。

物件の種類完成からの期間入居の有無法律上の扱い主な特徴
新築物件1年未満なし新築最新の保証や税制優遇が受けやすい
新築未入居物件1年以上なし中古誰も住んでいないが、法律上は中古
中古物件期間問わずあり中古一度でも誰かが住んだことがある

ざっくりいえば、新築未入居物件は「法令上は中古扱いだが、見た目は新築に近い」という物件です。次の章で紹介するデメリットを許容できる場合は、お買い得な買い物になるかもしれません。

新築未入居物件:知っておきたい3つのデメリット

新築未入居物件で一番気になるのは「なぜ売れ残ったか?」です。たとえば周辺環境に大きな問題がある場合などは、その物件を避けた方がいいでしょう。

ただし、それは物件固有の問題なので、この記事の少し後で解説することにしましょう。

ここでは新築未入居物件全般にいえる、3つのデメリットを紹介します。

デメリット1:新築同様の保険が受けられない場合がある

新築住宅については、法律(住宅の品質確保の促進等に関する法律)で「10年間は主要な部分を保証しなさい」と定められています。

ところが1年経って未入居物件になってしまうと中古扱いになるため、その法律の対象外になってしまいます。そこでネットの記事などではよく「新築未入居物件は新築と同じ保証が受けられない」と書かれています。

ただし、実務上は保険を掛けるのが普通です。

なので、過度に心配する必要はありません。どうしてかというと、建築中からハウスメーカーは保険の手続きを進めており(でないと間に合いません)、建物完成と同時に保険を掛けるからです。

そのため、未入居物件であっても、通常は新築同様の保険が掛けられています。ただ、1年経過しているということは、10年保証でなく9年保証になっている点がデメリットでしょう。

ただし超大手のハウスメーカーの中には、瑕疵保険を掛けずに供託するという会社もあります(少ないです)。供託の場合は新築同様の保証を行わないことも不可能でないため、あらかじめ保証内容について確認することは必須です。

必ず、保証については確認しておきましょう。

デメリット2:住宅ローン控除に関して不利になる

「新築未入居物件は、住宅ローン控除を受けられないことがある」とネットの記事に書かれていることがありますが、それはさすがに間違いです。

住宅ローン控除は受けられますが、新築より少し期間が短くなります。

新築物件13年間
新築未入居物件10年間

住宅ローン控除とは、年末のローン残高の0.7%を所得税と住民税から控除されるという仕組みで、家計には大きなインパクトがあります。たとえば年末の借入残高が3000万円だとすると、21万円の税金が戻ってきます。

その控除が3年短くなるというのは若干残念ですが、それでも10年間は控除を受けられるので、致命的な問題ともいいきれません。

デメリット3:未入居になった理由によっては危険度が高い

あとで詳しく説明しますが、新築物件が新築未入居物件になるには理由があります

たまたま周辺に競合物件が多くて売れ残った程度なら問題ありませんが、日当たりが悪かったり、周辺環境に騒音や悪習があるような場合は要注意。いくら安くても、長く住んでいるうちに後悔が膨らんでいく可能性があります。

環境や日当たりなど、あとから改善できない問題がある場合は、候補からはずした方がいいでしょう。

もし現在ご検討中の物件に気になるデメリットがある場合は、クラシエステートまでお問い合わせください。個別のケースについて専門家が無料で診断します。

ただし、対象エリアは東京都の多摩地区限定ですのでご了承ください。

なぜ未入居に?理由から探る物件のチェックポイント

新築物件が新築未入居物件になる理由はさまざまです。そして、その理由によって「これはやめたほうがいい」とか「これなら買ってもよさそう」と、判断が分かれます。

この章では筆者の経験も交えながら、新築物件が新築未入居物件になる理由をリストアップしていきましょう。

価格設定が高すぎるケースで未入居になることが多い

周辺相場の不動産価格に比べて価格設定が高く、売れ残ってしまうケースはよくあります。単純に値段が割高、というだけでなく、設計に凝りすぎて値段が高くなった物件も売れ残りやすい傾向にあります。

筆者が見てきた事例としては、3階建ての3階にLDKとお風呂を持ってきた意欲的な物件があげられます。高台に位置しており、リビングからもお風呂からも、すばらしい眺望が楽しめる物件でした。

その結果として値段が高くなりすぎたことが問題で、売却に3年ほどかかってしまいました。筆者も販売に協力しましたが、内覧対応したお客さんは口を揃えて「すばらしい眺望ですね。でも住みたくはないです」と言っていました。

この物件は、値段の高さだけでなく、3階にリビングという凝った設計も敗因だったかもしれません。

立地や周辺環境に問題があることも

駅から遠い立地、アプローチ道路が細くてクルマがすれ違えない、近くに騒音や匂いの元になる施設がある……など、多くの人が敬遠する条件があると売れ残ってしまうことがあります。

もちろんハウスメーカーはそれを見越して土地を格安で仕入れ、あまりお金をかけずに格安商品としてまとめる工夫をするのですが、それでも読みが外れて売れ残ることがあります。

他にも、高圧線のすぐ近くや、墓地の近く(または窓から墓地が見える)、電車の線路のすぐ近くなど、立地や環境面で敬遠されると、長期間売れ残って未入居物件になることがあります。

モデルハウスや建売分譲の最終在庫

分譲地で販売促進のために使われていたモデルハウスや、一団の新築物件の中で最後まで残った区画の物件が、未入居物件として販売されることもあります。

モデルハウスの場合は人の出入りが多いので、それなりにキズや痛みがあるはずですが、その代わりエアコンが附属していたりします(物件によります)。

複数棟が売り出された中で売れ残った物件の場合は、それなりに理由があるはずです。日当たりが悪いとか、駐車場にクルマを入れにくいとか、地形の関係で道路から室内が丸見えなどなど、よく観察してみてください。

買主の事情で売れ残るケースも

多少苦労しつつも買主が決まり、成約に向けて進めていたが「キャンセルになったため売れ残った」という物件もあります。

キャンセルになる理由はさまざまですが、「ローンが通らなかった」というパターンが多いでしょう。他には転勤が決まったのでキャンセルになったり、離婚することになったりと、さまざまな理由で買主がキャンセルしたことで成約に時間がかかってしまい、未入居物件となるケースがあります。

筆者が企画した住宅が新築未入居物件になりかけた理由とは?

筆者(アップライト合同会社の立石)が企画した建売住宅が新築未入居物件になりかけたことがあるので、その時の事情を紹介します。

区画整理地で格安の土地が出たので2棟の新築物件を企画したのですが、同時に格安の土地が大量に出てしまい、飯田産業さん、アイダ設計さん、RC住宅さんなどなどがいっせいに建売住宅を建て始めました。

その時点で「これはヤバい」と感じ、急きょフローリングを桜の無垢材にしたり、エアコンを標準装備にして対策。結果、1棟はなんとか売れましたが、1棟は自分で購入して3年ほど居住しました。

このように、ライバルが乱立することで売れなくなってしまい、未入居物件化することもあります。こういった物件は狙い目で、実際、筆者は売却時(3年後)に約250万円の譲渡所得(儲け)を出しています。

新築・中古・未入居物件徹底比較!どれを選ぶべき?

新築・中古・未入居物件、それぞれの物件の定義や特徴を解説してきましたが、最終的にライフプランに最適なのはどの物件なのでしょうか。

住宅選びは、価格や保証、設計の自由度といった様々な要素が絡み合う複雑な決断です。

そこで3つの物件タイプを多角的に比較し、それぞれがどんな人に向いているのかを深掘りしていきます。

新築物件は安心感が最大のメリット

まず、新築物件の最大の魅力は、最新の設備と手厚い保証による圧倒的な安心感にあります。

価格は最も高くなりますが、法律で定められた10年間の瑕疵保証が確実に受けられるため、入居後の予期せぬトラブルに対する不安を最小限に抑えることができます。

また、飯田産業などの大手であれば、アフターサービスも期待できます。30年の延長保証もあるため、長く住み続ける場合の安心感もあります。

向いている人:安心感を大切にする人。長く住み続ける人。

中古住宅は物件数の豊富さと将来価値が魅力

中古物件の強みは、価格の手頃さと選択肢の豊富さです。

同じ予算であれば、新築よりも広い家や都心に近い好立地を手に入れられる可能性があります。もちろん、建物の古さや保証が見劣りするといった側面はありますが、それを差し引いてもお買い得な物件を探せば問題ないでしょう。

また、リフォームやリノベーションによって自分だけの空間を創り上げる楽しみもあります。購入してから資産価値の下落カーブが緩やかである点も、将来的な住み替えを視野に入れる方にとっては大きなメリットです。

向いている人:費用を抑えたい人。将来住み替えを考えている人。

新築未入居物件は一期一会だがお得にきれいな物件に住める

新築と中古物件の中間に位置するのが新築未入居物件です。

新築に近い、きれいな状態でありながら、価格は新築より控えめです。

物件によりますが、かなり値段が下がっているケースもあり、コストパフォーマンスを重視する方にとっても魅力的といえるでしょう。

ただし、物件数が非常に限られており、なぜ未入居となったのかという背景を慎重に見極める必要があります。設計や内装は既に完成しているため、強いこだわりがない方向けと言えるでしょう。

向いている人:新築を安く買いたい人、コスパ重視の人。

まとめ:デメリットを理解すれば後悔なし!

新築未入居物件はお得ですが、一定のリスクもあります。

とくに初めての住宅購入では慎重になるのも当然です。家族の将来がかかる大きな決断だからこそ、失敗は避けたいもの。

注意点としては、新築未入居物件は、保証期間や住宅ローン控除が新築より短くなる点、売れ残りの理由によっては住環境に問題がある点などがあげられます。

しかし一方で、新築同様の状態で価格は割安になるケースも多く、コストを抑えたい方には大きなチャンスでもあります。大切なのは「なぜ未入居になったのか」を徹底的に確認し、保証内容や立地環境に納得できるかどうかを冷静に判断することでしょう。

「できればプロに同行してもらい、物件のよしあしを見極めたい」という場合は、お気軽にクラシエステートまでお問い合わせください。

購入前の建物診断、ハザードマップによる災害情報調査などは、仲介手数料の範囲内で行います。場合によっては仲介手数料無料になる物件もありますので、お気軽にお問い合わせください。

※東京都の多摩エリアに対応しています。

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