今回リビンマッチという不動産査定サイトで、自社保有のマンションを査定・売出ししてみて、以下のことがわかりました。
- 対応する不動産屋は良心的なところもダメなところも混じっている
- 届いた査定書はピンキリで、ヒドいのと良いのが混じっている
ほんとうに玉石混淆ですし、レベルがピンキリです。
そこで、この記事では、不動産会社を10年経営してきた経験から「リビンマッチを使うときには、ここに気をつけよう!」というガイドラインを解説していきます。
全部読む時間がない人は、次のポイントに注意してください。
- リビンマッチもイエウールもそこまで大きな差はない
- 入力するときは「最後の画面」に注意するべき
- 届いた査定書は「価格で選ばない」のが鉄則
とくに3つめの「査定書は価格で選ばない」というポイントは、実際の査定書を比較しながら解説します!
実際に入力したらどんな感じなのかは、以下の動画でわかります。最後まで入力して「やっぱりやめた!」と離脱することも可能です。
むしろ最後の画面で「どんな不動産会社が対応しているのかな?」としっかり見極めてから、査定依頼を送信するか、やめるかを検討するのもアリだと思います。
リビンマッチを使った実際の反響は? 気になる結果を報告
今回記事を書くにあたって、実は2物件の査定依頼をしています。1つは和歌山県に近いかなり田舎の一戸建て。もう1つは関西空港に近いやや都市部のマンションです。
対応している不動産業者は都市部(今回は大阪市内)に近いエリアが多く、郊外に行くと少なくなるという傾向が顕著でした。
届いた査定書を比較!ペラ1枚から冊子なみのボリュームまで

価格査定の依頼に対して、4つの不動産会社から反響がありました。リビンマッチに限らず、ほとんどの不動産一括査定サイトでは「最大6社に査定依頼ができる」とうたっていますが、郊外では対応不動産会社がゼロということもよくあります。
今回は、関西空港に近いマンションの査定依頼に対して、4件の反響がありました。
4つの不動産会社の、査定書のレベルには驚くほど差がありました。
| ボリューム | 価格の正確さ | |
|---|---|---|
| ベスト査定書 | 17ページ | 非常に正確 |
| ワースト査定書 | 1ページ | 実際より高い価格 |
このレベルの差はリビンマッチだからという事ではなく、すべての不動産一括査定で起こりうることだと思います。これほど実力差がある査定書を受け取ったとき、どこをチェックするか考えてみましょう。
査定書の注意点は「価格に惑わされない」こと
ざっくり注意点をあげておくと、以下の2点です。
- 不動産会社の査定額は、高ければ高いほどよいわけではない
- 不動産会社を選ぶときは「どう売ればいいか」という提案力をみる
ちょっとあり得ないほど高い査定額でお客さんを惑わせる、ウソ査定書も増えています。気をつけてください。
120万円から220万円まで、価格のばらつきをどう考えるか
今回受け取った査定書に書かれた価格はバラバラでした。安い会社で120万円、高い価格を提示してきたところで220万円と、ほとんど2倍ちかい開きがあります。
| 査定額 | 査定書の質 | |
| A社 | 120万円 | ◎ |
| B社 | 120万円 | ○ |
| C社 | 150万円 | × |
| D社 | 220万円 | (口頭) |
120万円が正解です
この場合正しい査定額は120万円です。私がこのマンションを事務所用に買った価格も120万円でした。
価格だけを見ると、220万円という価格を出してきた業者がいいように見えますが、その判断は間違いです。実はこのマンションはD棟だけが海に面しており、特にビューがすぐれているのでD棟には220万円の取引事例がありますが、査定依頼をしたC棟は120~150万円の事例しかありません。

とういことで、220万円は間違いです。査定額を高く見せるためにわざと間違えた可能性もありますし、能力が低くて間違えた可能性もあります。いずれにせよ、その査定書は失格です。
ではどうしてやたら高い価格を提示してくるのか、整理しておきます。
- とりあえず高い価格を提示して仲介依頼を取りたい
- 経験が不足しており本当の値段がわかっていない
実際より高い査定書を出す理由
消費者としては、正しい価格を出した不動産業者を選び、「その価格よりもさらに高く売る方法はこうです!」という提案力を評価するようにしましょう。
今回査定書を出してくれた4つの不動産会社のうち、1社だけが、より高く売却するための提案をしてくれました。
ポイント
「査定額は120万円だが、可能な限り150万円での売却を狙いましょう。そのためにはこういった売却活動が必要です」といった具体的な提案をしてくれる会社は、仕事ができるといえます。
このように、正確な査定額を出した上で、独自の提案をしてくれていることが良い査定書の条件だといえます。
今回のケースでいうと、4つの不動産会社のうち2社は正しいと思われる査定額を出してくれました。2社は間違ったと思われる査定額を出してきました。
つまり、今回の成績でいうと、5割の不動産会社が間違った査定価格を出してきているということになります。
さらに、相場内の査定額を出した2社のうち「いいね!」と思える提案をしてくれたのは1社だけでした。
とにかく査定書で判断する!そのために必要な知識もあります
ここまでで見てきたように、不動産の価格査定書を見るときは、実は不動産屋を評価できるしっかりした知識が必要になります。
価格査定の査定額ひとつをとってみても、間違った査定額を書いてくる割合が5割あるということがわかりました。いい提案をしてくれる業者が2割5分しかいませんでした。
でも、不動産業を経験したことがない一般の人が、不動産屋が出してきた査定額を評価するのは難しい。そう思っているかもしれません。
しかし公開されているデータから、価格を推定する方法はあります。
マンションの場合はネットのデータから正確に価格を推定できます

マンションの場合は以下のリンクから、マンションレビューのデータを参照するのがお勧めです。このデータはマンションレビューの独自調査に基づいているのですが、かなり正確だと感じます。
参考マンションレビュー……口コミも参考になるマンション情報サイト
一戸建てや土地の場合は、自分で値段を推定する必要があります
土地や一戸建ての場合は、価格査定をしてみないとはっきりした事がいえません。
不動産業者はレインズなどのデータを利用していますが、今のところ一般の人がレインズを利用することができません。
そこで当サイトでは、国土交通省が公開している膨大な取引データを使った、簡易査定システムを作っています。
参考ダウンロードページ……当サイトのダウンロードページ
Windows専用ですが、上記のページから査定サイトをダウンロードして、自分で不動産の価格を簡易査定してみることができます。
査定書は価格だけを見ない!「根拠」と「提案」が重要
ここまで見てきたように、価格査定書に書かれた査定額は「高ければいい」というわけではなく「正確である」必要があるとわかりました。
正確な価格が分からないと、正しい売却戦略が立てられません。
また査定額が正確であるだけでなく、「どうしたら査定額よりも高く売却できるか」という提案も大切なポイントです。提案力がない不動産会社は単に査定額を提示するのみですが、「こうすれば高く売れるんじゃないか」という戦略や経験値を持っている不動産会社であれば、いろいろな提案をしてくれます。
このような提案力があれば仲介依頼してOK
一例ですが、売却困難物件に対して、こういう提案があればいい不動産業者ではないかと感じます。
(例)漁港目の前の築古の一戸建て
アナログな手法だが、近隣の漁師にチラシを配ると売れる可能性がある。特に、価格帯が安いので、見習い漁師を狙った営業展開をすると予算的にははまる可能性がある。
(例)ワンルームマンションについて
このエリアでの賃貸需要が薄いので、一般投資家向けにしぼって販売すると、反響が出ない可能性が高い。そこで昨今の流れを踏まえて、中小企業のサテライトオフィス用途でプッシュしてみたい。
リビンマッチで営業電話は「当然きた」。ただし、しつこくなかった
ほとんどの不動産一括査定サイトでは、「机上査定」か「訪問査定」かを選ぶ項目があります。
しかし、リビンマッチでは選べません。
そのため、リビンマッチで価格査定をすると、おそらく100%近い確率で営業の電話がかかってきます。
「お伺いして面談したい」という内容がほとんどでしょう。
今回も全部の業者から電話がきました。
しかし最初から「まず先に査定書をもらう。その内容を精査してから、会うべき不動産業者と面談する」と決めていたので、その旨を伝えました。
「まず査定書・提案書をもらえますか? それを読んだ上で面談しようと決めています」
というと、全業者「わかりました」と、すなおに引き下がってくれました。
実際の査定書、ベストとワーストを比較してみると?
ワーストは値段だけが書いてあるA4の紙1枚でした。ベストな査定書は、表紙をのぞいても17枚の分厚い書類でした。
単純に、ボリュームは17倍です。内容はそれ以上に差があると感じました。
| ワースト査定書 | ベスト査定書 | |
| 登記簿 | 取っていない | 取って内容を確認している |
| 物件の長所・短所 | 分析がない | しっかり分析している |
| 売出価格の提案 | ない | ある |
| 販売戦略の提案 | ない | ある(具体的) |
| 公図による物件特定 | ない | ある |
| 参照した取引事例 | ない | ある(複数添付) |
表にできるのはこれくらいですが、その他にも自社の会社紹介をきちんと載せていたり、査定書を作成した担当者名とチェックした上司の名前が明記されているなど、ベスト査定書はかなりよくできていました。
ベスト査定書は、120万円という査定額を出した上で、150万円から売り出してみることを提案していました。
リビンマッチの入力項目を実際に入力してチェック

リビンマッチに限らず、ほとんどの不動産価格査定サイトでは、次の順番で入力をすすめていきます。
- 物件の情報(主に登記されている内容)
- 依頼主の個人情報
- その他(要望やオプション的な依頼)
最後の最後に、査定依頼をする不動産業者を選ぶ(チェックを入れる)のも、各サイト共通です。
用意すると便利な書類は契約書、固定資産税通知書など(1つでOK)
リビンマッチでは上の動画のように、「不動産の情報(登記された内容中心)」、「依頼主の個人情報」の順に入力していきます。
「不動産の情報」については、購入時の売買契約書、重要事項説明書(重説)があれば、それを手元に置いて入力するのが効率的です。
なければ毎年市町村役場から届く、固定資産税の通知書を手元に置いて、入力を進めて下さい。
登記簿上の面積や、建物の築年数などは、正確に入力するのがベターです。
一括査定サイトの仕組みと登録している会社の特徴
全国の不動産業者のうち、スマイスターなどの不動産一括査定サイトに登録しているのは1~2%です。
つまり、98%以上の不動産会社は、一括査定サイトに登録していません。
そこから査定サイトを利用するときは、以下の点に注意すべきだといえます。
- もし対応している不動産業者が少ない場合は別の査定サイトを検討する
- 査定サイトを利用していないが優秀な業者もいるはずなので、ネットでどんな会社があるか別途検索しておく
このあたりはやっておいたほうがいいと思います。
私が10年使ってきたリビンマッチってどんなサービス?
私が不動産業者として、ネットの一括査定サービスを利用しはじめたのは2010年代前半のことです。その当時、類似のサービスは数えるほどしかありませんでした。
リビンマッチ(当時はスマイスターという名称)は、今でこそ老舗サイトですが、当時はできたばかりの新興サイトだったので、イエイのほうが安定して査定依頼が届いたことを覚えています。
リビンマッチを運営するリビン・テクノロジーズ株式会社が、安定した成長をとげたからだと思っています。
とくに、本社(東京都日本橋堀留町)以外に、名古屋、大阪、福岡など7か所に拠点を展開し、ユーザーサービスがよい点が気に入っていました。
リビンマッチは特殊物件で利用価値ありと感じる
今の時代、そこそこ名前の通った不動産一括査定サイトであれば、どこを利用してもそれなりの反響は得られると思います。
ただ、その中でも運用歴が長く、ユーザー数も多いリビンマッチは「幅広い物件に対応している」という特徴があります。
- 任意売却に対応している
- 畑など農地にも対応している
- 賃貸管理や土地活用の相談もできる
といった点は、老舗サイトならではの対応力だといえます。
また、大手仲介業者から地域密着型企業まで、さまざまな不動産会社に査定依頼できるのもリビンマッチの特徴です。
参考リビンマッチ……農地なども対応する査定サイト(無料)